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大阪の塚本幼稚園が園児に教え込む愛国心とは、安倍晋三首相への「愛」なのか。安保関連法が成立した2015年の秋の大運動会。選手宣誓に立った園児4人は壇上で声をそろえた。「安倍首相がんばれ」

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エールに加え「安保法制、国会通過良かったです」と続けた。国有地問題の渦中にある森友学園が運営する幼稚園だ。理事長は首相を敬愛するという。政治信条を意味も分からぬ園児に言わせた。何度練習させたのか。拡声器代わりに使ったのではないか

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昨年3月の修了証書授与式。職員が「教育勅語」と声を掛けると、園児が直立し「朕(ちん)思うに…」と唱え始めた。教育勅語は明治天皇の名で1890年に発布された。やがて神聖化され、昭和期の軍国主義教育と結び付く。その反省から戦後に衆参両院が排除や失効の決議をしている

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早稲田大の西原博史教授(憲法学)は著書で教育勅語をこう位置付ける。臣民は、天皇の役に立つかどうかの価値基準で全て善しあしを判断せよとの発想。子どもを天皇のため道具に作りかえるのが教育であり、一人一人の価値は認められていなかった―

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首相の妻昭恵さんは園の教育に共感し、小学校の名誉校長を一度は引き受けた。削除されたホームページのあいさつには「熱き想いに感銘を受け」と記していた。教育勅語への郷愁だとすれば、道具に使われた民の遺恨を分かっていない。

(3月1日)

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