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軟らかい食感の「ウルトラ寒天」、海外市場開拓へ

 伊那食品工業(伊那市)は、通常より軟らかい食感の機能性寒天「ウルトラ寒天」について、欧州の製菓やフランス料理といった海外市場の開拓に乗り出した。食感の滑らかさや料理の形を保つ特性が食分野で役立つ―とみて国内外の展示会に出展。料理人らの反応も上々という。国内中心だった高付加価値寒天の販売先を海外に広げ、着実な成長を目指す。

 20年ほど前に開発したウルトラ寒天は、通常の寒天と比べて凝固する力を10分の1程度に低下させたのが特徴。滑らかでゼラチンと比べて高温でも溶けにくく、糸を引かないといった特性を生かし、ペースト状の食品や垂れずに塗りやすいはちみつなどに使われている。食品以外でも、ジェル、ファンデーションといった化粧品、物をのみ込む力が弱い「嚥下(えんげ)障害」の補助に活用されている。

 同社はこれまで、取引先の「顔が見える商売」を重視して国内市場向けの開発を優先してきた。当初5種類ほどだった粉末寒天の種類は現在100種類に及ぶ。和菓子やヨーグルトといった食品の形状保持のほか、化粧品、医薬品など「使われない業界がないほど需要を引き出してきた」(湯沢正芳取締役)。こうした寒天を海外の視点で捉え直して新たな用途を見つけられないか―と、まずは海外にない機能性のウルトラ寒天の市場性を探る。

 昨年秋にフランスで開かれた食品展示会に初出展し、製菓やフランス料理の関係者に特徴を説明。都内で昨秋あった世界的な老舗レストランの会合でも披露した。担当した東京支店営業部は「和食が世界的に注目されていることもあり『日本ではどのように使われているのか』と強い関心が寄せられた」とする。展示会などで作った接点を生かして用途開発を続ける。

 伊那食品工業の16年12月期の売上高(単体)は前期比5・1%増の191億800万円。欧州での売上高目標などは掲げていないが、湯沢取締役は「10年程度で欧州に販売拠点が構えられるよう市場開拓を進めていく」としている。

(3月2日)

長野県のニュース(3月2日)