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警戒心強い「スレジカ」夜間銃猟 伊那の国有林で月内に試験

日没後、暗視スコ―プに映し出された鹿(自然環境研究センター提供)日没後、暗視スコ―プに映し出された鹿(自然環境研究センター提供)
 安全確保の面から禁じられていたニホンジカの夜間銃猟が、今月下旬、県内では初めて伊那市長谷で試験的に行われる。農林業被害を防ごうと捕獲に力を入れた結果、警戒心を強めた「スレジカ」が増え、捕獲実績が伸び悩んでいるためだ。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「試験実施で課題を洗い出し、効率的な頭数調整の方法の一つとして検討していきたい」としている。

 「猟犬が鹿を発見する機会が明らかに減った。鹿の警戒心が高まっている」。45年以上狩猟に従事し、1シーズンに30回ほど猟に出るという上伊那猟友会長の竹入正一さん(73)=上伊那郡辰野町=はスレジカの増加を実感。北佐久連合猟友会副会長の高橋博美さん(58)=佐久市=も、くくりわな猟などから逃げた鹿が「危険箇所を学習し、生息域を変えているようだ」と話した。

 県の鹿の捕獲目標頭数は2015年度までの4年間で1・6倍の4万頭に引き上げられてきた。鹿の生態に詳しい信州大農学部の竹田謙一准教授は「狩猟者が毎週山に入ることでプレッシャーが高まり、鹿の警戒心や行動圏が変化した」とみる。狩猟期が始まると山深くに移動し、終わると戻ってくる鹿や、足跡を残さないよう草の根元を選んで歩く鹿もいるという。その結果か、15年度の県内の捕獲頭数は3万1885頭で、13年度の3万9663頭から2割減った。

 一方、森林総合研究所(茨城県つくば市)によると、鹿は日没前後や夜になると警戒心が緩み、見通しのいい場所に出てくるという。「高い捕獲効率が期待できる」(同研究所)として、鳥獣保護法改正で15年5月から夜間銃猟が条件付きで認められた。

 狩猟免許の保持に加えて、環境省の安全管理講習を受け、50メートル先の直径5センチの的を5回以上連続命中させるといった技能が条件。その上で都道府県の委託を受け、従事できる。同省によると、夜間銃猟は既に和歌山県と北海道で試験導入が始まっている。

 県は今回、鹿の個体数調整で実績のある一般財団法人「自然環境研究センター」(東京)に捕獲を委託。熱を感知して映像化する暗視スコープを使い、狙撃する。餌を置いて鹿を誘い出すという。

 試験場所は、人が立ち入る可能性が低く、狙撃方向に山の斜面などがあって流れ弾の危険がない国有林の一角を選んだ。実施日は周辺に監視員を立てて車両や人が近付かないよう警戒。現在、県公安委員会が最終的な安全確保状況を確認している。

 県は試験実施の後、効率的な捕獲や安全確保策の妥当性を外部の専門家も交えて検証する考え。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「今後も試験を重ね、導入に向けて準備を進めたい」としている。

(3月3日)

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