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新種の「ハバチ」発見、NZの学術誌に掲載 長野の小島さん

自宅でハチの標本箱を手に話す小島さん。奥の棚に積まれたプラスチック製の容器で幼虫を飼育している自宅でハチの標本箱を手に話す小島さん。奥の棚に積まれたプラスチック製の容器で幼虫を飼育している
 長野市北長池の元県職員小島治好さん(75)が昨夏に捕獲したハチの一種「ハバチ」が新種と分かり、ニュージーランドの動物分類学の学術誌「ズータクサ」に3日までに掲載された。小島さんの新種発見は9種目で、うち5種の学名には自身の名前が付いている。小島さんはハバチの研究を50年以上続けており、ハチの系統分類が専門の国立科学博物館の篠原明彦博士は「世界的にも指折りの人」と一目置くほどだ。

 ハバチは最も原始的なハチ類で、幼虫は植物の葉を食べて育つ。成虫は針があるが刺すことはない。仲間のキバチを含めて約800種が発見されているが、研究者が少なく生態や分布は詳しく分かっていないという。

 小島さんは昨年7月、ドイツ国立昆虫学研究所のアンドレアス・テーガー博士と篠原さんの3人で、県内や新潟県の山々でハバチを採集。小島さんが捕獲した約400匹のうち、笹ケ峰高原(新潟県妙高市)で捕まえた1匹が新種と分かった。全長8・5ミリ。テーガーさんは「パキプロタシス・コジマイ」と命名した。

 テーガーさんと篠原さんらがまとめた論文によると、小島さんが捕まえた1匹はこれまでヨーロッパ原産のハバチと同じ種と考えられていたが、研究の結果、胸や頭部の模様やDNA構造などに違いがあり、新種と判明した。論文は複数の学者が約5カ月かけて検証したという。

 小島さんは小学生のころから昆虫が好きで、「昆虫を採取できる」と信州大農学部(上伊那郡南箕輪村)へ進学。学部構内でアカマツの葉を食べるハバチの幼虫を見つけ「葉っぱを食べるハチがいるとは」と驚き、以降ハバチの研究に没頭した。

 卒業後は県庁に入庁。休みの度にハバチを追った。卵から成虫まで多い年にはおおよそ5千匹を飼育。標本は数万匹近くはあるという。幼虫を採取し、自宅で飼育しながら生態を研究する。幼虫の形態の変化、排卵や交尾の所要時間なども記録している。

 2002年に定年退職し、時間に余裕ができたことから篠原さんをはじめ、知り合いの研究者を頼りながら、これまで見つけたハバチを検証。次々と新種と判明した。小島さんが見つけた新種には「ギルピニア・コジマイ」「ディプリオン・コジマイ」といった名前が付いている。

 小島さんの目標は今回発見した新種を含め、針葉樹の葉を食べるハバチの生態を明らかにすることだ。新種の発見に「うれしくて励みになる」と喜びつつ「まだまだ道半ばで分からないことばかり。引き続き探究を続けたい」と話している。

(3月4日)

長野県のニュース(3月4日)