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天皇退位 各党は速やかに法案を

 天皇陛下の退位を巡る各党間の協議が膠着(こうちゃく)状態に陥っている。特別法での対応を主張する与党と、皇室典範改正を求める野党との隔たりが縮まらない。

 昨年の有識者会議から衆参正副議長の下での各党協議を経て、論点は煮詰まっている。各党はそれぞれ法案をまとめ国会に出して、開かれた形の議論に移行すべきだ。そうしてこそ、象徴天皇制の在り方にかなう。

 各党間協議は年明けから本格的に始まった。8党2会派の幹事長レベルの合意を受けて、正副議長が各党から個別に意見を聴いた。一昨日、昨日の両日は、各党、会派が衆院議長公邸に集まって全体会議を開いている。

 一連の協議を通じ詰めるべき点が定まってきた。今の陛下の退位を認めることでは、各党はおおむね一致している。問題は退位を今の陛下一代限りとするか、将来の退位の可能性もにらんで皇室典範を改正するかだ。

 背景には皇室制度に対する基本的な考え方の違いがありそうだ。自民は仕組みを大きくは変えたくないのが本音だ。

 論点は極力限定したい。退位を認めるにしても今の陛下に限りたい。そのための特別法だ。

 公明、日本維新の会は自民に同調している。特別法は首相官邸の意向でもある。

 民進党などには、女性皇族、女性・女系天皇の問題へと議論を広げたい思惑がある。典範改正は突破口になり得る。

 男系男子の継承にこだわるか、女性・女系天皇を容認するか―。退位を巡る論議は思想的な対立を内包している。

 憲法は天皇を国民統合の象徴とし、その地位は国民の総意に基づくと定めている。終戦以降の歩みを振り返れば、天皇制の在り方について国民の意思が反映される機会はこれまであまりなかった。象徴天皇制のスタート自体が連合国主導で決まっている。

 憲法の規定を踏まえるなら、退位の問題は国会という開かれた場で、国民の代表である国会議員が意見を戦わせて答えを出すべきだ。国会での審議なら公式の議事録が後世に残る。

 各党協議という変則的な形で進めるのは本来望ましくない。次の全体会議は見送る方がいい。

 陛下の年齢を考えれば長々と時間をかけるわけにもいかない。この国会か次の臨時国会で制度見直しの方法とその時期についてめどを付けたい。国民的議論を巻き起こす取り組みを各党に求める。

(3月4日)

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