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国体招致 将来像を提示したい

 県が2027年の国体招致に乗り出す。開催する意義を明確にして信州から新たな国体像を提示できないか。スポーツ施策のあり方を見つめ直し、幅広い議論を起こしたい。

 県会が、招致を求める決議を全会一致で可決した。実現すれば、1978年の「やまびこ国体」以来、ほぼ半世紀ぶりに県内での本大会開催となる。

 冬季大会を含めた「完全国体」を目指すという。市町村の協力も欠かせない大がかりな事業になる。10年後を見据えて、考えていくべき課題は多い。

 何より大事なのは、過大な費用をかけないことだ。既存の施設を活用し、身の丈に合った大会にしたい。それは国体が目指すべき方向でもあるだろう。

 少子化による人口減や高齢化で、県も市町村も財政状況は厳しい。社会保障費が今後さらに膨らむことを踏まえれば、国体を錦の御旗にはできない。

 本大会の開催費用は100億〜150億円にも上るという。財政負担の重荷を背負うのは県民である。どれだけ圧縮できるか、知恵を絞らなくてはならない。

 国体は戦後の1946年に始まり、地域の振興やスポーツの普及に寄与してきた。県内でも、やまびこ国体を機に各地に施設が整備され、競技が根づいている地域も少なくない。

 役割はなお大きいにせよ、重い財政負担や、旧態依然としたあり方が問われて久しい。第一線の選手の国体離れが指摘され、開催地以外では関心も薄い。

 一石を投じたのが、02年の高知国体だった。38年にわたって続いた開催県が総合優勝する“慣例”はこのとき途切れている。

 前例にとらわれず、大会の簡素化に努めた姿勢は、国体改革の機運を高めた。その後、夏季・秋季大会の一本化や参加人員の削減が図られている。

 ただ、一定の前進はあったものの、根本的な改革にはつながっていない。総合優勝の慣例も、また元に戻った。

 選手強化が国体のための一過性のものでは意味がない。開催県だからと総合優勝にこだわる姿勢は改めたい。むしろ、裾野の拡大につなげることに重きを置いて施策を充実させられないか。

 長野五輪を開催した経験も生かし、訪れた選手や観客を温かくもてなすことは、莫大(ばくだい)な費用をかけなくてもできる。広く県民の声を聞きながら、簡素でいて信州らしい国体のあり方を探りたい。

(3月4日)

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