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新野の雪祭り、ルーツに光

藤原氏との関係を示す伊東家の家系図藤原氏との関係を示す伊東家の家系図
 下伊那郡阿南町新野に伝わる国重要無形民俗文化財「新野の雪祭り」を明治時代まで主宰した伊東家が、藤原氏の一族であることを示す家系図を飯田市美術博物館学芸員の桜井弘人さん(58)が見つけた。桜井さんは、藤原氏が創建した春日大社(奈良市)の摂社・若宮神社の例祭で国重要無形民俗文化財の「春日若宮おん祭(まつり)」と、新野の雪祭りの類似性に着目し、長年、関連を研究。藤原氏と伊東家の関係を示した家系図は、雪祭りのルーツがおん祭にあるとの見方を裏付ける材料の一つとしている。

 伊東家は鎌倉時代に新野に入り定着した一族。新野に移る前、春日大社で神職を務めていた縁で、春日大社の祭りの様式を新野に持ち込んだとされるが、雪祭りの神事の中心を担っていた伊東家の子孫が明治時代に地区を去ったため、一族の由来が詳しく分かっていなかったという。

 桜井さんは昨年、36代目の伊東家当主が県外で暮らしていることを知り、今年1月の雪祭りの際に、新野に残っている当主所有の建物で2箱分の巻物や文書を見せてもらった。家系図などの史料を読み解いたところ、伊東家が藤原氏と同じ天児屋根命(あまのこやねのみこと)を氏神とし、藤原姓を名乗っていた一族だと分かったという。

 雪祭りとおん祭は、いずれも田楽や猿楽、神楽などの古典芸能を次々と披露するのが特徴。桜井さんによると、太陽信仰が祭りの重要な柱になっていることなど共通点が多く、「雪祭りにはおん祭との関連を示す要素が緻密に組み込まれている」とする。

 伊東家が新野に定着した当初は今より素朴な祭りで、時間がたってから再構成されたとも推測。「伊東家の宗教的知識が豊富な人物が、先祖が関わる祭りの起源伝承を強化したのではないか」とみる。

 新野の雪祭りは、南信州広域連合が飯田市美術博物館などと協力し、映像化するプロジェクトを展開。4、5日の両日は、午前10時から阿南町の阿南文化会館で記録映像を初公開する催しを開く。4日午後3時半からは桜井さんが雪祭りを解説する講演がある。申し込み不要で無料。

(3月4日)

長野県のニュース(3月4日)