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うららかな春の日、鉢伏山の上空で何が起きたのか。いまだに信じられない思いだ。パイロット、整備士、消防隊員ら9人の命を奪った県消防防災ヘリコプターの墜落事故である。救命救助の任務に高い使命感と技術を持った精鋭たちだ。残念でならない

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山火事消火、災害救助、患者搬送、緊急物資の輸送、被害調査…。防災ヘリの仕事は幅広い。もっぱら県警ヘリの役目と思っていた山岳救助もホームページを見ると頻繁にある。この1月も7件出動し、同じ日に八ケ岳、北アルプスと4件も掛け持ちしている

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現場に急行し機内につり上げ、応急処置をして病院や地上隊に引き継ぐ。活動を紹介する4枚1組の写真日誌がチームワークの良さを物語る。隊員は各消防本部から選ばれ派遣される。戻って核になることを望まれた30〜40代だ

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「同じ釜の飯を食う」という。命懸けの仕事をした仲間の絆は強い。広域化した消防活動の連携でも活躍したことだろう。単身赴任の隊員もいた。家族にとっても一番頼りにしたい年代だった。その気持ちを思うといたたまれなくなる

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航空隊発足から20年。地震・水害・噴火…。数々の現場で実績を重ね士気も高かった。20歳のヘリに異常はなかったか。操縦していた岩田正滋さんは導入時から担当し、機体に精通していた。航空隊再生はあまりにも険しい。かけがえのない9人の犠牲である。

(3月7日)

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