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福島原発の現状、英独で発信 富士見出身の写真家

ドイツで展示する写真を手にする樋口さんドイツで展示する写真を手にする樋口さん
 国内の原子力発電所をテーマに40年以上にわたって撮影している諏訪郡富士見町出身の報道写真家樋口健二さん(80)=東京都国分寺市=が、12日にドイツ、15日に英国で東京電力福島第1原発事故について講演する。東日本大震災から6年の節目に、現地の環境団体から招かれた。樋口さんは、事故現場の周辺には今も避難指示区域があり、除染や廃炉に向けた作業に大勢が関わる現状を踏まえ、「核と人間は共存できない」と訴える。

 エネルギー産業の負の側面に注目する樋口さんは、1970年代初めから原発や、原発で働く人を取材している。77年には、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の炉心部で手作業で機器を操作する作業員の姿を撮影し、「原発はコンピューター制御だから安全」という当時の人々の意識に一石を投じた。

 こうした報道が評価されて2001年、ドイツの反核団体「ワールド・ウラニウム・ヒアリング」が非核社会を築くことに努力した個人や団体に贈る「核のない未来賞」を受賞した。11年8月には、福島第1原発事故後に福島県で撮影した作品も収めた写真集「原発崩壊」を出版した。

 今回のドイツと英国での講演は、樋口さんの写真展や講演会を企画している都内の女性グループ「ママデモ」が、現地の環境団体と樋口さんを仲介した。ドイツでは講演に合わせ、樋口さんの写真展も3カ月にわたり開かれる。同グループは「長年原発に向き合い、その危険性を指摘してきた樋口さんを海外に紹介する素晴らしい機会だ」と期待を込める。

 樋口さんは、茨城県東海村の核燃料加工会社で1999年に起きた臨界事故を取材した際、自らも被ばく。白血球が減る「再生不良性貧血」を今も患っている。医師からは放射線量が高い場所に行くことを止められているという。

 樋口さんは「今も大勢が被ばくしながら事故収束に向けて働く福島の状況を伝えたい。日本政府が長年安全だとアピールしてきた原発がいかに危険な存在であるかも示してくる」と話している。

(3月10日)

長野県のニュース(3月10日)