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警戒を怠らず巧みに人を避ける。そんな「スレジカ」が増えているという。捕獲の網をくぐり抜け警戒心を強めたニホンジカを指す。今年度の捕獲は目標に遠く及びそうにない。これもスレジカのせいらしい

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古くから人とシカはせめぎ合いを続けてきた。江戸時代、農産物被害に苦しんだ農家は鹿垣(ししがき)を築き、鉄砲打ちを雇った。明治期は日露戦争で毛皮の需要が増えたこともあって狩猟が盛んになった。生息数が激減し捕獲が禁止された時期もある。そして今―

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シカが大乱を起こしているのだろうか。1990年代から爆発的に増え全国に300万頭が生息。県内も推定20万頭に上る。山里の畑から高山の貴重な植物群落まで食害は深刻だ。ついに県は禁じ手だった夜間猟銃を試みる。スレジカも警戒が緩む夜、暗視スコープを使い狙撃する

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南アルプスでは林道ののり面緑化がシカに採食場所を提供してきた。冬でもすぐに枯れず栄養価が高い牧草やクローバーだ。高山から下りてきたシカは冬を乗り切る力を得る。GPSをシカに付けた信州大農学部の泉山茂之教授らの調査で明らかになった

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北海道のエゾシカ協会は英国にならい「シカ捕獲認証制度」を始めた。狩猟者の減少や高齢化にも対応し捕獲や管理に科学的に取り組むプロを育てる。人の営みが引き起こした大乱だ。どう押し戻しバランスを取るか。知恵の絞り所である。

(3月10日)

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