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PKO撤収 ごまかしが過ぎないか

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊の施設部隊が撤収することになった。

 派遣を継続することには憲法上、疑義がある。部隊を引き揚げること自体に異論はない。しかしなぜ、このタイミングか。撤収の理由について政府の説明は、ふに落ちない。

 インフラ整備を任務とする施設部隊は2012年から派遣されている。昨年11月には安全保障関連法に基づき、駆け付け警護の新任務付与が閣議決定された。

 政府は、派遣中の部隊が行っている道路整備を完了させた上で5月末をめどに撤収させる。PKOを統括する「国連南スーダン派遣団(UNMISS)」への司令部要員の派遣は続ける方針だ。

 安倍晋三首相は、派遣が1月で5年を迎え「施設部隊としては過去最長」になったと述べた。首都ジュバでの施設整備は「一定の区切りを付けることができると判断した」と説明している。

 昨年7月にジュバで政府軍と反政府勢力による大規模な戦闘が起きるなど南スーダンは不安定な状況が続く。しかし、菅義偉官房長官は撤収が「治安の悪化によるものではない」とした。

 自衛隊のPKO参加は紛争当事者間の停戦合意など5原則を満たす必要がある。政府は、5原則が維持されているとしてきた。リスクを感じての撤収なのに、これまでの説明と整合させるため、5年という節目を持ち出したのではないか。ごまかしの色が濃い。

 政府は、南スーダンの国造りが新たな段階に入りつつあるとの見解も示した。UNMISSによると、国内各地で食料不足が深刻化する一方、一部では治安の悪化で人道支援が停滞している。政府の認識とは隔たりが大きい。国会での詳しい説明を求める。

 南スーダンPKOを巡っては廃棄済みとしていた日報が省内で見つかり、問題になっている。稲田朋美防衛相への報告の遅れも発覚し、文民統制に疑念を生じた。今回の決定は国会での追及をかわす狙いも感じさせる。撤収で幕引きにはできない。

 稲田氏らは昨年9月ごろから撤収を含め、今後の在り方を検討してきたとする。新任務を付与した部隊派遣の判断も問われる。安保法の実績をつくろうとしたのではないか。当時の情勢分析、派遣を続けた経緯を改めてたださなくてはならない。

(3月12日)

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