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補助金不正 検審申し立てを重く見よ

 大北森林組合の14億円余に上る補助金不正受給事件は、交付決定した県が不正にどう関わったのか。発覚から2年以上たって、いまだに全容は明らかになっていない。

 その原因の一つが、事件に加担した疑いで書類送検された県職員4人が起訴猶予(不起訴)になったことだ。検察は、証拠がありながら事情を考慮して裁判にかけるのを見送った。県側の責任は法廷で問われなくなった。

 長野市民5人が先日、不起訴は不当として検察審査会に審査を申し立てたのは、このままでは県の組織的関与がうやむやになると考えたためだ。

 県職員4人は事件当時、組合の不正受給の窓口になった北安曇地方事務所の担当者だった。架空の森林作業道の補助金申請を受けた際、現地調査をしていないのに調査したと検査書類に書いた虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検された。

 うち1人は、架空の作業道整備での申請と知りながら交付決定の手続きをした補助金適正化法違反の疑いでも送検されている。

 検察は、不正が県の予算消化を目的とし、個人的な利得がなかったと起訴しなかった。それ以前にも同様の不正をしながら時効で罪を問えない他の県職員とのバランスも考慮したようだ。

 この判断が妥当だったのか。抽選された有権者でつくる検察審査会が調べる。

 裁判になるまでには、いくつもの段階がある。審査会が起訴相当と議決しても検察が再び不起訴にすれば再審査が必要だ。もう一度、起訴相当を議決した場合に初めて強制起訴になる。今回の場合、申し立て資格や時効の判断も絡む難しさがある。

 全容解明が進まない原因は県や県議会の姿勢にもある。

 県は「全くの架空申請を認めた職員はいない」と、捜査結果と食い違う主張を繰り返している。本庁林務部から不正を示唆されたという地事所担当者の証言も否定した。誰のどのような指示で長年、不正がまかり通ってきたのか。はっきりしない点が多い。世論調査では県の調査が不十分と考える県民が多数を占める。

 県政の監視役である県会も、強制力を持って関係者や書類を調べることができる百条委員会の設置判断を先送りしている。

 検察審査会への申し立ては、真相解明が遅々として進まないことの裏返しといえる。県、県会とも重く受け止めるべきだ。

(3月13日)

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