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斜面

今時分は春の使者を見つけるとうれしくなる。野山にひっそり咲く花も先駆けとなるとがぜん注目度が増す。小さなセツブンソウもそうした花の一つだろう。雪解けとともに咲きだしすぐ終わることからスプリング・エフェメラル(春の妖精)とも呼ばれる

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先週末、千曲市戸倉の群生地を訪ねた。里山の北向き斜面は丈夫な柵で囲われ一周できるようになっている。「落ち葉の下からたくさん出ているよ」と地元の人に教えられてよく見ると、白い花がそこかしこに顔をのぞかせている

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キンポウゲ科の多年草で白い花びらに見えるのは「がく」。真ん中が青く気品がある。セツブンソウに適した半日陰の湿った林はイノシシのヌタ場にも好都合だ。獣が嫌う木酢液に浸した布をあちこちにつるして守っている。管理の行き届いた群生地である

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ボランティア有志の「育てる会」ができて丸10年。花の時期は交代で見回り、案内もする。かつては盗掘にも悩まされたが、手入れのかいあって群落は柵の外まで広がった。今週が最盛期になりそうという。お土産に心のこもった手作りのしおりを頂いた

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代表的な春の使者には「春告(はるつげ)」のつく異名がある。春告鳥はウグイス、春告草は梅、春告魚はニシンのこと。県最南の天龍村では梅に続いてもうカンザクラが見ごろという。南北に長い信州には心弾む使者たちがこれから大勢やって来る。

(3月14日)

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