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斜面

川面を渡る風は少し冷たくても、頬に心地良かったことだろう。一昨日、天竜川を舟で下った下伊那郡泰阜村の泰阜中学3年生だ。飯田市の運航会社が川開きに合わせ招待した。終点の唐笠港は泰阜村にある

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11人の生徒への卒業プレゼントだ。舟に乗り込んだ生徒は、ガイドさんが紹介する天竜峡の奇岩を眺め水しぶきにはしゃいだ。川面から望む村の風景はどう見えただろう。舟上では皆で歌い、色とりどりの風船を飛ばした。記事が昨日の本紙に載っていた

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宮大工を夢見て伝統建築を学ぶ。航空機の客室乗務員になりたい。生徒は卒業後、それぞれの道を歩む。山村留学していた子たちは村から巣立つ。「当たり前のように一緒に過ごしてきたが特別な時間だった。出会えて良かった」と担任の倉沢満先生(34)。感慨深い別れの時だろう

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天竜川は山の雪解けが進むと水かさが増し流れも太くなる。春の彼岸のころは雨も重なると大水になることもある。「彼岸水」と呼ぶそうだ。春の最初の大水の時には枯れ木などが流れてくるため運航を中止することも。舟下りは自然の営みとともにある

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〈空を率(ひきゐ)て末ひろがりに春の川〉飯田蛇笏。雪解け水を集め幅を広げていく春の川は空を率いて流れるようだ―。作家村上護さんは雄大で心豊かな一句と評した。今日は多くの学校で卒業式。どの子の歩む道も末広がりに、と祈りたい。

(3月16日)

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