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特価セールの行列、ポイント利用…。私たちの行動には得をしたいというより損をしたくない気持ちが強く働く―。高橋秀実著「損したくないニッポン人」の指摘は思い当たることが多い。一円でも安くと店を回り無駄に時間を費やすのはよくあることだ

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2014、15年度に国の交付金を使って各地で発行されたプレミアム商品券もその一つ。2割分の上乗せがある商品券を発行した中野市では住民が2日前から並び夜の雨と寒さに耐えた。商工会議所が混乱を陳謝する事態になっている

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新たな消費喚起が目的だったが、会計検査院が調べると趣旨に沿わない使途が多数見つかった。調査対象になった県内16市町村でも車検代やガス代のほかに司法書士の報酬、葬儀費用もあった。公平性を欠く100万円以上の支出も4市町で確認された

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今後も同様の事業を行う場合、検査院は政府に効果を検証するよう求めている。けれど行列までして商品券を求めるのは損をしないよう努めている庶民だからこそ。優先して生活必需品に使い、余得は貯蓄に回そうと考えるのは当然だ

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新たな買い物を期待する制度自体に無理があろう。商品券には1600億円もの税金が使われた。膨大な借金があっても目先の票目当てに気前よく使ってしまうのは政府の方だ。いくら堅実にと心掛けても借金のツケはいずれ民に回る。踊らされてはなるまい。

(3月18日)

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