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ふるさと納税 税金争奪やめ財源移せ

 不毛な税金争奪戦をいつまで続けるのか。

 個人が選んだ自治体に寄付をすると、住民税や所得税が軽くなる「ふるさと納税」。多くの寄付を集めようと自治体が寄付者に贈るお返しの競争は過熱する一方だ。

 共同通信の調査では全国の自治体の7割余が返礼品の是正が必要と答えた。対策を検討している総務省は返礼品の上限の目安を来月にも公表する。

 返礼品を制限すれば解決する問題ではない。自治体同士が結果的に税収を奪い合う、ゆがんだ制度そのものを見直すべきだ。

 ふるさと納税は、2千円の自己負担分を除いた寄付全額が税額控除される。寄付をした自治体の返礼品が2千円より高い物なら得したことになる。

 故郷への恩返しという当初の趣旨は薄れた。民間の情報サイトが次々と立ち上がり、カタログショッピングのように返礼品のお得感を比べ、寄付する自治体を選ぶ風潮が広がった。

 災害被災地を除けば、多くの寄付を集めているのは、豪華なお返しを取りそろえた自治体だ。他の自治体も負けじと豪華さを競い、寄付額に対する返礼品の金額は昨年度の37%から本年度は43%に上がる見込みだ。

 寄付を受けた額が、地元住民が他の自治体に寄付したことで住民税が目減りした分と返礼品経費の合計を下回れば赤字になる。長野県内では昨年度、返礼品を設けていなかった長野市など11市町村が赤字だった。

 これまで赤字になる一方だった東京の特別区は返礼品競争に参入する動きを見せている。大阪府の松井一郎知事も先月、「なんでもありなら府も本気で参入し、地方に負けないものを用意する」と表明した。

 大都市が本格参入すれば、寄付が流れる。地方は税収を失い、赤字が拡大する恐れがある。都市部に偏る税収の格差を是正するという制度の根幹は崩れる。

 そもそも税収格差を是正するのは、国税を一定割合で自治体に配分する地方交付税の役割だ。格差が大きいのなら地方への交付税を増やすのが筋ではないか。

 国と地方の歳出比率は4対6なのに税源配分は6対4になっている。より多くの財源を国が握ったまま、財源が限られた自治体に競争を強いる。こんな制度を続ければ地方は逆に消耗してしまう。国と地方の対等な関係のためにも地方への財源移譲を進め、制度は廃止すべきだ。

(3月20日)

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