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オランダ選挙 排外主義は止まるのか

 欧州の政治、社会に広がる移民排斥などの排外主義は止まるのだろうか。楽観論に傾くのは禁物だ。

 選挙イヤーを迎えた欧州連合(EU)の行方を占うオランダ下院選は、ルッテ首相が率いる中道右派の自由民主党が勝利した。

 選挙前、首位になることも予想された極右の自由党は大幅な躍進には至らなかった。

 党首ウィルダース氏の反イスラム、反EUといった過激な主張に対する警戒感や、連帯を示してきたトランプ米大統領が巻き起こす混乱が影響したとみられる。それでも議席を上積みし、欧州に向けて存在感を示した。

 選挙結果は、排外主義や大衆迎合主義の加速に待ったをかけたとし、欧州の主要政党や市場は胸をなで下ろしている。

 予断は許さない。4〜5月にフランス大統領選、9月にはドイツ連邦議会選がある。「反EU」「反難民」を訴える右派勢力が国民の不安をあおる手法で活動を活発化させるかもしれない。自由で寛容な社会を守れるか、EUにとって正念場が続きそうだ。

 オランダは歴史的に移民に寛容だった。度々迫害されたユダヤ人を守ったり、海外の労働者も積極的に受け入れたりしてきた。世界で初めて同性婚や安楽死を認めるなど、個人の自由を重視する政策でも知られる。

 しかし、1980年代以降、製造業からサービス業へと産業構造が転換すると移民への目が厳しくなり始める。失業した移民が福祉の対象になることを問題視する風潮が強まっていく。

 そんな社会情勢を受け、ウィルダース氏は2006年に自由党を立ち上げた。移民排斥を訴え、政権批判のツイートを連発する政治スタイルから「オランダのトランプ」との異名を取る。選挙結果についても「望んだ形の勝利ではないが、われわれも勝者だ」とし、強気の姿勢を崩さない。

 オランダはギリシャ危機などを背景に、財政再建が重い課題となってきた。この結果、福祉にしわ寄せが出るなど、国民は既存政治に不満を募らせている。

 次期政権は国民の暮らしに目配りするとともに、政治不信の払拭(ふっしょく)に力を注がねばならない。国民の痛みが伴う場合、丁寧に説明して理解を得る必要がある。

 おろそかにしていると国民の目に映れば、ウィルダース氏の影響力は無視できなくなるだろう。オランダだけでなく、欧州各国を不安定にしかねない。

(3月21日)

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