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阿智 劇で語る満蒙開拓 手作りの「村民劇」初上演 

満蒙開拓をテーマにした村民劇を演じる子どもたち満蒙開拓をテーマにした村民劇を演じる子どもたち
 下伊那郡阿智村中央公民館で20日、満蒙(まんもう)開拓をテーマにした村民劇が初上演された。多くの村民が開拓団として旧満州(中国東北部)に渡り、満蒙開拓平和記念館がある同村。住民が歴史に学び未来を考えようと、村公民館と地域おこし協力隊員で役者の二川舞香さん(35)が企画。脚本から歌、音響、照明まで住民手作りの舞台になった。

 村民劇は、同郡豊丘村出身の胡桃沢伸さん(50)=大阪府=が、阿智郷開拓団員だった野中章さん(故人)の体験を基に執筆した脚本「たんぽぽの花」と、村役場職員の井原喜志美さん(27)による「三つの責任」の2本立てだ。

 「たんぽぽの花」は、敗戦時に10歳だった野中さんが「もう一度(日本の)タンポポの花を見たい」との一心で満州から戻った―という手記を基にした物語。同村の小中学生ら17人が出演し、姉と2人で村へ戻り親類に引き取られて暮らした野中さんの心情に迫った。

 野中さん役を演じた阿智第一小4年の金田一太郎君(10)は上演後の懇談会で「脚本を読むと少し悲しいお話で、演じてみるとそれ以上につらかった。みんなに『このことを伝えなくちゃ』と言われてやろうと思った」と話した。「同じ10歳の僕が今どれだけ幸せなのかが分かる」

 「三つの責任」を書いた井原さんは、開拓団の女性が敗戦後に「自分の家族は自分で守るんだ」と団長に言われ、悩んだ末、満州で結婚したという語りを聞いて物語にした。「10代の子が家族を守っていく責任とは、また10代の子に責任を負わせなくてはならなかった人の気持ちはどんなだったのか、描きたいと思った」。劇中では、生きて歴史を伝えていく側の責任にも触れた。

 満蒙開拓を題材にした村民劇は今年7月、新作2本を加えて本公演を開く計画だ。

(3月21日)

長野県のニュース(3月21日)