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原発ビジネス リスクはもう隠せない

 原発産業のリスクの大きさを改めて浮き彫りにした。

 東芝の米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して経営破綻した。負債総額は現時点で98億1100万ドル(約1兆円)である。

 損失処理で東芝の2017年3月期の純損益は1兆100億円の赤字に落ち込む。日本の事業会社では過去最悪となる。負債が資産を上回る債務超過も6200億円に上る。穴埋めのため、利益を生み出してきた半導体事業を売却するまでに追い込まれた。

 WHの赤字がここまで巨大化した理由は、原発建設コストの増大である。WHは米国で4基を建設中だ。東京電力福島第1の事故後、米国内で原発の安全基準が厳しくなり、設備費などが当初の見込みを大幅に上回った。

 東芝経営陣は原発事業の将来性を見誤った。不採算性を顧みず、赤字が巨大化するまで事態を放置した責任は重大だ。「チャレンジ」と称し、実情を無視して利益の水増しを図った体質は改善されていないのではないか。

 リスクは他メーカーでも表面化している。

 日立製作所は米ゼネラル・エレクトリック(GE)との合弁会社がウラン燃料の濃縮事業から撤退。損失は650億円に上った。三菱重工業も自社製品の故障で米国の原発が廃炉になり、約140億円の損害賠償を命じられた。同社は経営が悪化しているフランスの原子力大手アレバに投資しており、今後の影響が懸念される。

 世界では原発産業の将来性が市場から疑問視され、撤退や事業縮小する企業が多い。原発に積極的な日本企業の特異性が際立つ。

 米エネルギー省の昨年の調査だと、2022年に発電を始める場合、原発の発電コストは風力や天然ガスの2倍弱、太陽光の1・5倍になる。経済産業省の15年の試算では、原発は太陽光の半分以下だ。経産省は建設費や事故対策費を低く見積もっている、との批判が専門家の中にある。高コスト体質の現実から目をそらしているのは政府も同じだ。

 政府は原発輸出に積極的だ。昨年11月にインドと原子力協定を結び、同12月には英国と新規原発建設で協力を強化する覚書を締結している。安全性や経済性を考慮せず企業が輸出に走ると、「想定外」の損失が発生する懸念は拭えない。政府と企業は原発のリスクに正面から向き合うべきだ。

(4月3日)

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