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イカ高騰 県内ため息 塩丸イカ業者 悲鳴

花見小屋でイカを焼くスタッフ=11日午後6時30分、長野市の城山公園花見小屋でイカを焼くスタッフ=11日午後6時30分、長野市の城山公園
 食卓でおなじみの食材、スルメイカの価格が高騰している。日本近海の記録的な不漁が原因で、スーパーの店頭価格は例年の2倍になっている。本格的な春の行楽シーズンを前に飲食店からは「価格への転嫁は仕方ない」との声が漏れ、信州の伝統食材「塩丸イカ」の製造会社は「死活問題」と悲鳴を上げる。消費者には手の出しにくい状況が当面続きそうだ。

 桜の名所として知られる長野市の城山公園。風物詩の花見小屋の営業が7日に始まったが、小屋を営む小林善幸さん(78)の顔はさえない。イカの仕入れ値が例年のほぼ倍で、イカ焼きの値段を100円上げて600円にした。「焼き鳥やおでんに加え、イカ焼きは定番料理。売らないわけにもいかない」。別の小屋を営む竹村寿之さん(70)も「例年より仕入れ値が6〜7割も高い。そのまま上乗せすることはできない」と苦労をにじませた。

 全国漁業協同組合連合会(東京)によると、近年は全国的にスルメイカ漁が不振だ。2016年の全国の水揚げ量は6万3650トンで前年比40%減、14年比で56%も減った。水揚げ量減少に伴い価格は高騰。16年の市場平均価格は1キロ578円と前年の305円から跳ね上がった。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構日本海区水産研究所(新潟市)によると、スルメイカの主な産卵場の東シナ海で水温が低下するなど繁殖に適した環境が整わず、特に太平洋を北上するイカが減ったとみられる。今年の漁も「予測が難しい状況」という。水産庁は資源回復のため17年漁期の漁獲可能量を前年より5割近く減らす方針だ。

 スーパー「デリシア」(松本市)では生のスルメイカを例年の倍の1杯398円ほどで販売。担当者は「昨年から全国的にものがなく、先が見通せない」と話す。

 価格高騰は信州の伝統食材にも影響を及ぼしている。長野県向けにイカの塩漬け「塩丸イカ」を製造している吉川水産(福井県)は4月、県内スーパー向けの出荷価格を5割ほど値上げした。仕入れ値は例年の2倍超だが、「消費者が買わなくなったら困る。とにかく我慢」と担当者。県内で販売される塩丸イカの大部分を同社を含む福井県の2社が製造しており、「高値がもう1年続いたら製造を続けられない」と危機感を募らせている。

(4月12日)

長野県のニュース(4月12日)