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避難者いじめ 学校だけで解決しない

 原発事故で避難した子どもが各地でいじめに遭っている深刻な実態の一端が明らかになった。背景にある避難者の状況に目を向け、子どもたちを守る取り組みを強めなければならない。

 福島県内外に避難している小中高校生ら約1万2千人を対象にした調査結果を文部科学省がまとめた。卒業生が過去に受けたいじめを含め、200件を超す。

 震災や原発事故と関連するいじめとされたのは13件。「放射能が付くから近づくな」と仲間外れにされた事例のほか、「おまえらのせいで原発が爆発した」と言われた子どももいたという。

 学校が把握できていないいじめも多いとみられ、調査で分かったのは氷山の一角と捉えるべきだろう。子どもが人知れず苦しんでいないかを、より注意深く見ていく必要がある。

 横浜へ両親と自主避難した子が「賠償金あるだろ」などといじめられていたことが昨年、明らかになった。学校は両親から相談を受けたのに対応していなかった。検証した第三者委員会は「教育の放棄に等しい」と述べている。

 子どもを守るべき学校がその責任を果たしているのかと思わされる事例はほかにもある。新潟では、同級生にいじめられた子が、担任の教師からも「菌」と呼ばれ、不登校になった。

 長野県内を含め各地に子どもたちが今も避難している。それぞれの学校が自らの問題として、子どもと正面から向かい合っていくことが欠かせない。

 同時に考えなければならないのは、学校にとどまる問題ではないということだ。教師や学校に対応を求めるだけでは、根本的な解決につながらない。

 誤解や無理解が避難者への根深い差別や偏見を生んでいる。避難指示区域外から自主避難した人も含めて、誰もが望んで故郷を離れたわけではない。

 苦しい状況にある人たちが、いわれのない非難や攻撃を浴びせられて、さらに追いつめられる。大人社会のその現実に根差して、子どもたちのいじめも起きているのではないか。

 自主避難者への住宅支援はこの3月末で打ち切られた。復興相は、戻らないのは「自己責任」と言い放ち、厄介な存在を切り捨てるかの姿勢をあらわにしている。

 原発事故から6年を経て、避難した子どもへのいじめがなくならない。それはなぜなのか。背後にある社会のありように目を凝らさなくてはならない。

(4月12日)

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