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日米経済対話 安保と一体化は避けよ

 「米国第一」を掲げて、対日貿易赤字などを問題視する米トランプ政権と、良好な経済関係を築けるのか。その試金石となる日米経済対話が始まった。

 表向きは関係強化で合意したものの、日米の思惑の違いが鮮明になったといえるだろう。

 麻生太郎副総理兼財務相は記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)を念頭に「アジア太平洋地域で自由で公正な貿易ルールを広めていく」と述べた。これに対し、ペンス米副大統領は「TPPは過去のもの。世界中の国と2国間で貿易関係をつくりたい」と一蹴している。

 トランプ大統領は、日本の自動車市場に非関税障壁があると指摘し、農産物の関税の高さにも言及している。2国間交渉になれば、TPP以上の市場開放を迫られる可能性は高い。

 問題は今回の経済対話が安全保障問題と一体化していることだ。

 麻生氏は会見の冒頭、「安全保障と経済は日米同盟の両輪」と述べ、ペンス氏も「日本の防衛と繁栄のために常にある」と強調している。核・ミサイル問題などで北朝鮮情勢が緊迫化する中、日米の連携強化は欠かせない。

 とはいえ、安保と経済対話は別問題であることを認識しなければならない。経済対話は日米間の経済課題の解決が目的だ。安保と一体化すると、米国の一方的な要求を拒否できなくなる懸念がある。将来に禍根を残し、両国にとって建設的な議論にならない。

 クリントン政権時代の日米貿易摩擦では、米国は関税の大幅引き上げをちらつかせる「力の外交」で自動車市場の開放を日本に迫った。日本メーカーは対米輸出を自主規制した経緯がある。その再現は避けなければならない。

 現状に対する日米間の認識の隔たりは大きい。貿易赤字はその最たるものだ。日本企業は米国内で現地生産を拡大している。1980年代に半分を占めていた対日貿易赤字は1割を切っている。

 自動車の市場開放も同様だ。日本の輸入車関税は既にゼロ。米国は独自の認証基準を挙げ市場の閉鎖性を批判しているものの、日本で米国車が売れないのは主に米国メーカーの努力不足が原因だ。

 必要なのは、安保と経済対話が別問題であることを確認した上で現状の共通認識をつくることだ。経済対話では、貿易だけでなく、インフラ投資やエネルギー問題も議題になる。両国の総合的な利益はどこにあるのか、対話を積み重ねていきたい。

(4月20日)

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