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斜面

畑の土にはお湿りになっただろうか。きのうは午後、長野市内などで雨粒がひとしきり落ちた。この時季の雨は土を潤して穀物の種や新芽の生育を助ける。きょうは二十四節気の「穀雨」。家庭菜園にも種まきのシーズンがやってきた

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知り合いは1週間ほど前までにニンジン、ハツカダイコン、ミズナの種をまいた。ジャガイモの種芋も植え付けた。4月に入り気温が低かったため昨年の日誌を参考に1週間遅らせた。水やりに気を使うが、雨が適度に降って土は程よい湿り具合という

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今、国内で販売されている野菜の種のほとんどは海外で収穫したものだ。企業が原種を地中海の温暖な地や米国、中国などに持っていき栽培している。種の栽培は手間もかかり、委託先の農家が高齢化した日本国内では難しくなっているという。長野市の種苗店で教えてもらった

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ノルウェーの「種子の箱舟計画」を思い出した。各国から預かった農産物の種を北極圏の永久凍土に保存している。農業の大規模化や多国籍企業による寡占化などで多様性が失われ、一気に絶滅する恐れがあるからだ。小さな種に詰まる世界の今である

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〈ものの種子(たね)にぎればいのちひしめける〉日野草城。先日亡くなった大岡信さんの「折々のうた」によれば、20代半ばの青年の意気が高まって外にあふれ出ようとする情感を詠んだ。知り合いの畑のニンジンは小さな芽を出したという。柔らかい雨の恵みを受け、ぐんぐん育つことだろう。

(4月20日)

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