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売木の診療所、待望の医師着任 憧れの信州で「全力を」

売木村診療所に赴任した森田さん(右)。患者の目を見てゆっくりとした口調で話す売木村診療所に赴任した森田さん(右)。患者の目を見てゆっくりとした口調で話す
 1年以上無医村状態が続いた売木村診療所に今月、名古屋市の病院から内科医、森田真次さん(56)が着任した。高校時代から憧れを抱いていた自然豊かな信州の地で働ける喜びをかみしめつつ、「目の前の患者のために、過不足なく全力を尽くす」と、日々診療に当たっている。

 14日午後3時。午後の診療が始まった。血圧が高いのが気になると話す女性患者に、森田さんは「塩分に気を付けて。でも、ここは漬物がおいしいからね」。ゆっくりとした口調で語り掛けた。

 先週の検査結果を聞きに来た福島文子さん(77)は時間をかけて話を聞いてくれる森田さんに、安心を感じている。「先生なら自分が想像していなかったような悪い所を見つけてくれるかもしれない」

 大阪府で生まれ、東京都、埼玉県で育った森田さんにとって自然は憧れの的だった。高校1年生の時の作文で「山間部で渓流魚の養殖をしながら医者をやりたい」と書くほどだった。28歳の時から4年間通った名古屋大大学院時代には、週末ごとにオートバイで南信州へ出かけ、キャンプや渓流釣りを楽しんだ。

 いつか信州で働きたい―。そんな思いでいたところ、昨年12月、インターネットで売木村が診療所医師を募集しているのを見つけ、応募した。昨年1月に診療所医師が亡くなり、無医村だった売木村にとって、待望の医師だった。

 いずれ村に移住する意向だが、現在は名古屋市の自宅に家族を残し、週4日ほど診療所に勤務する。

 着任して約3週間。1日10人ほどを診る。患者から「どんな病気でも診てもらえるの」と聞かれることがあるが、小さな診療所で医師1人では対応できることは限られる。森田さんは診療を通じ、患者やその家族が適切に119番通報できるよう、アドバイスしたいとも考える。「自分の技術を村民の皆さんに提供しつつ、ここで暮らす知恵を頂きたい」と話している。

(4月21日)

長野県のニュース(4月21日)