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安保をただす PKO撤収 検証と議論を尽くせ

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に2012年から参加してきた陸上自衛隊部隊の撤収が始まった。

 国会は5年間の活動を検証し、問題点の議論を尽くすべきだ。派遣が終わるからといって、うやむやにしてはならない。

 11年に独立した南スーダンの国造りを支援するPKOだ。日本はインフラ整備を担う施設部隊を首都ジュバに派遣してきた。補修した道路は約210キロ、用地造成は約50万平方メートルに及ぶ。

 政府が撤収を発表したのは3月だ。安倍晋三首相は、施設部隊として派遣が過去最長になったと述べ、活動に「一定の区切りを付けることができると判断した」としていた。なぜ今なのか疑問が残る唐突な決定だった。

 5月末までに全部隊を引き揚げる。国連南スーダン派遣団(UNMISS)への司令部要員4人の派遣は続ける方針だ。

 撤収に当たり政府にまず問わねばならないのは、派遣を続けてきたことの是非である。南スーダンは13年12月以降、政府軍と反政府勢力とが内戦状態に陥った。紛争当事者間の停戦合意など、PKO参加の5原則が満たされていたか疑問が拭えない。

 南スーダンは現在、日本が参加する唯一のPKOだ。政権が「積極的平和主義」を掲げるため、無理を重ねてこなかったか。政府には改めて、現地の情勢についての認識、派遣を続けられると判断した根拠を示すよう求める。

 関連して、派遣部隊の日報を巡る問題が見過ごせない。廃棄済みとしていた記録が防衛省に残されていた。現地の状況について「戦闘」などの記述があり、政府は釈明に追われた。都合の悪い資料を隠したと疑われても仕方ない。

 組織的な隠蔽(いんぺい)の有無を防衛監察本部が調べている。稲田朋美防衛相は中間報告をまとめることに否定的な考えを示した。防衛相の統率力も問われる問題だ。途中経過を含め、説明すべきである。

 派遣部隊には安全保障関連法に基づき「駆け付け警護」などの新任務が付与された。運用開始から4カ月ほどでの撤収だ。安保法の実績作りを狙った印象が強い。

 政府内にはPKO参加の在り方を見直す動きもある。部隊ではなく、司令部要員を派遣するのが先進国型だ。本来、安保法の審議で掘り下げるべき点だった。新任務の妥当性も問い直す必要がある。

(4月24日)

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