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辺野古の工事 民意を顧みない強行

 政府が名護市辺野古沿岸部で護岸工事を始めた。沖縄県は訴訟を含め、対抗策を準備している。民意を無視した政府の強権的なやり方は是認できない。

 米軍普天間飛行場の代替施設の外枠を造る。石材や消波ブロックを沖に向かって順次投入するという。資材が海底に積み上げられれば、原状回復は難しくなる。既成事実化がさらに進む。

 沖縄県は今月上旬、防衛省沖縄防衛局に行政指導をしていた。前知事による「岩礁破砕許可」の期限が3月末で切れたため、許可が必要な工事を行う場合は手続きを取るよう求めるものだ。

 漁業権が設定された水域の海底の岩石を壊したりするのに必要な知事の許可である。県は工事を阻止するため、再申請を認めない方針だった。

 期限が切れても政府は構わずに工事を進めてきた。地元の名護漁協が漁業権放棄を決議したため許可は不要になったとしている。あまりにも強引ではないか。

 県は「現在も漁業権は残る」とし、主張が対立している。護岸工事の開始を受け、翁長雄志知事は差し止め訴訟を明言した。

 前知事による埋め立て承認を巡る争いも再燃が避けられない。翁長氏による取り消し処分は、昨年12月の最高裁判決で国側の勝訴が確定した。お墨付きを得たと政府は強気の姿勢だ。

 翁長氏は承認を撤回する意向を示している。承認に問題があるとしてさかのぼって無効にする「取り消し」に対し、「撤回」は承認後の事情を理由に将来の効力を消滅させることだ。

 さまざまな選挙で示された辺野古反対の民意や、許可がない状態での岩礁破砕などを理由として踏み切ることが考えられる。

 知事が撤回した場合、政府が取り消しを求めて提訴するといった展開が見込まれる。再び国と県との訴訟合戦になる。

 対立が続く大きな要因は、反対意見を顧みることなく工事を強行してきた政府の対応にある。

 昨年成立した和解では、国と県が「円満解決」に向けて協議することになっていた。にもかかわらず、政府は「辺野古が唯一の解決策」との方針を一方的に押し付けるばかりだった。

 和解に沿った手続きで、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は、国と県が真摯(しんし)に協議して納得できる結果を導く努力をすることが最善の道だと指摘していた。政府は工事を中止し、県と話し合うべきだ。

(4月26日)

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