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復興相辞任 寄り添う姿勢がない

 「これがまだ東北で、あっちの方だったから良かったけど」

 地震、津波の被害と原子力災害に苦しめられ続けている人たちの耳にどう響いたか。考えると胸が痛む。

 被災した人々に寄り添い、苦しみを軽くする道を一緒に考えるのが仕事のはずの復興相による発言である。辞任は当然だ。

 今村雅弘復興相は先日も原発事故に伴う自主避難者の帰還について「本人の責任、判断だ」「(不服なら)裁判でも何でもやればいい」と述べて批判されたばかりだ。帰りたくても帰れない人びとへの理解がない。国の責任について質問した記者に対し「二度と来ないでください」「うるさい」との暴言を浴びせてもいる。

 今村氏は復興の仕事に最も適さない政治家の一人だと考えるほかない。任命した安倍晋三首相の責任も問われる。

 復興相ポストは東日本大震災の3カ月後、2011年6月に新設された。旧民主党の菅直人内閣の時だった。復興庁と合わせて、窓口を一元化する「ワンストップ」の対応が表看板だった。

 その後を見ると、政府の仕事に合格点は付けられない。初代復興相だった旧民主党の松本龍氏は、被災地の知事に対し「知恵を出したところは助けるけど、出さないやつは助けない」などと発言、就任9日目に辞任している。

 第2次安倍内閣で環境相兼原発事故担当相に就任した石原伸晃氏は、原発汚染土の中間貯蔵を巡り「最後は金目でしょ」と述べて批判された。務台俊介内閣府・復興政務官は岩手県の台風被害地視察での「おんぶ」や「長靴業界はもうかった」の失言で、この3月に事実上更迭されている。

 復興庁に対しては、縦割り行政の弊害を排除できていないとの批判も根強い。

 復興に関わる政治家がどうしてこうも問題を起こすのか。被災地の事情をくむ姿勢が欠けているからと考えるほかない。

 〈白河以北一山百文〉という言葉がある。福島県の白河の関以北が、明治の薩長政権から「一山で百文の価値しかない」とさげすまれたことを指す。宮城県の地元紙「河北新報」の紙名はその言葉に対する反発に由来する。

 今村氏の「あっちの方だったから良かった」発言は東北に対する蔑視の意識を内包していないか。国が進めた原発政策のために苦しんでいる人びとに向けてこんな言葉を投げ付ける人物には、政治家を続けてほしくない。

(4月27日)

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