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北朝鮮対応 米政権の苦しさにじむ

 トランプ米政権が北朝鮮の核・ミサイル開発問題に関し、「差し迫った安全保障上の脅威で、外交の最優先課題」と危機感を訴える声明を出した。

 上下両院の全議員を対象にした異例の説明会も開き、問題の深刻さを訴えている。

 トランプ大統領の任期中に北朝鮮が米本土も狙える大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有するとの見方が出ている。

 米国内でも遠い東アジアの問題では済まなくなってきたのか。支持率が低迷し、政権運営能力が問われる中、対処方針を説明する必要に迫られたようだ。北朝鮮対応で妙案を見いだせない苦しさがにじむ対応となった。

 声明では核放棄を迫るために経済制裁の強化など外交圧力を強める一方、対話を模索するとの基本方針を示した。

 北朝鮮が自ら核を放棄するのを待つ立場を取ったオバマ前政権の政策は間違っている。トランプ氏はこう訴えてきた。対話重視の姿勢で向き合えば再び付け入る隙を与えると考え、レッドライン(越えてはならない一線)を明確にしないまま、軍事的圧力を続ける姿勢を示している。

 原子力空母を中心とする艦隊を朝鮮半島に向かわせるなど、圧力を強めている。北朝鮮も敵意をむき出しにしたままだ。示威行動の応酬が日本や韓国などを巻き込む心配が消えない。

 今のままでは不測の事態が起きる恐れがある。急いで緊張状態を和らげ、6カ国協議など、北朝鮮の核問題を話し合う仕組みを再構築しなくてはならない。

 トランプ政権が今回示した方針はどうだろうか。新味や具体性に欠ける。が、北朝鮮との対話は「オープンだ」とした。関係国と連携して外交解決に努める意思を示した意味はある。

 懸念材料は多い。実動部隊となる国務省の高官ポストは空席が目立ち、対話の可能性を探る体制が整ってはいない。

 トランプ氏は問題解決の要となる中国とは意思疎通を図っているものの、ロシアとは対立。北朝鮮への接近を招いてしまった。足並みは乱れたままだ。

 圧力と対話のバランスを取りながら解決の道筋を付けることができるか。米国のためだけでなく、東アジアの安定を本気で考え、解決する意思がトランプ氏にあるかどうかが問われる。これまで選挙戦で訴えた政策の有言実行ぶりをアピールしてきた。北朝鮮対応でこそ示してほしい。

(4月28日)

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