長野県のニュース

「塩の道ちょうじや」開館5年目 コチョウランに誓う春

支援者から今年も届いたコチョウランを前に談笑する「縁家」の女性たち支援者から今年も届いたコチョウランを前に談笑する「縁家」の女性たち
 大町市中心市街地の旧塩問屋「塩の道ちょうじや」(旧塩の道博物館)が、2013年4月の開館から5年目を迎えた。大町の歴史を伝える建物を市民自ら守りたい―。そんな女性スタッフたちの意気に感じて、今年も一鉢の真っ白なコチョウランが同館に届いた。開館した年から続く応援に、女性たちは決意を新たにしている。

 大町市は、松本地方と新潟県糸魚川市を結んだ「塩の道」の中継点。ちょうじやには明治時代の母屋や、江戸時代に牛馬や歩荷(ぼっか)が運んだ塩を保管した塩倉などが残る。旧博物館時代から市街地観光の拠点として、背負子(しょいこ)やかますなど塩の道の歴史を学べる道具や資料を展示してきた。

 ちょうじやを運営するのは一般社団法人「縁家(えんや)」。2012年10月、旧博物館の運営会社が解散して建物の維持が危ぶまれたのを機に、翌13年春、市民有志が縁家を立ち上げ、経営を引き継いだ。

 従来の資料展示に加え、女性スタッフらのアイデアで飲食コーナーを設け、郷土食や歴史の講座、子どもが集える縁日、演奏会などさまざまな催しを企画。工夫を重ねて来館者を増やしてきた。ただ、時々の観光動向によって団体客が伸び悩むなど課題は多い。「観光業は本当に難しい」。思い悩む日々を支えてくれたのは有形無形の市民の応援だったと、理事長の黒川恵理子さん(48)は振り返る。

 開館記念日の4月21日に毎年届くコチョウランもその一つ。ちょうじやによると、届けているのは県内在住の男性という以外は秘密。縁家への寄付金も続けていて、副理事長の西沢聖美(さとみ)さん(51)ら女性スタッフたちは男性を「あしながおじさん」と呼ぶ。

 今年も届いた花を見て、黒川さんは「たくさんの人たちの応援、寄付を受けて縁家が発足した日を思い出した。また今年も頑張ろうと思った」という。黒川さんを通じた取材に、男性は「陰ながら応援している者の1人です」とだけ話している。

(4月29日)

長野県のニュース(4月29日)