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「前途がまったく絶望的と思われる時でも、人間の身心の再生能力を決して過小評価してはならぬ」。故ノーマン・カズンズ氏の著書「笑いと治癒力」にある。回復不能とされた膠原(こうげん)病を、希望や愛情、笑いという“積極的な情緒”をもって克服した人だ

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信じ難い、という方々への答えになるだろうか。大阪国際がんセンターが、笑いががん患者の免疫機能に与える影響を検証する。通院患者に落語や漫才を楽しんでもらい、血液検査でストレスの変化を診る。助っ人に桂文枝さん、オール阪神・巨人さんら頼もしい顔触れを迎えた

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東京の国立がん研究センターは、少し重い研究結果を公表した。75歳以上の患者に抗がん剤を投与しても、延命効果がほとんど見られなかったという。まだ言い切れないとしたが、厚労省は他の情報も集め、抗がん剤治療の指針を作る方針を固めている

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食い付きがいいのは、高額な抗がん剤の使用を抑えることで、医療費を削減する狙いもあるからか。抗がん剤は副作用も強く、患者の生活の質(QOL)を保つためにも効用を確かめておくことは大切だろう。けれど、治療方法を選ぶのは患者であることを忘れないでもらいたい

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社会保障を巡って、減らせ削れのかけ声が響く。カズンズ氏によれば“消極的な情緒”こそ病の元なのに、女性活躍、1億総活躍と息苦しさは増す。人口の4割が高齢者となる近未来に向け、どんな社会を築くのか。そろそろ本気で考えたい。

(5月1日)

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