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首相の「20年改憲方針」に波紋 県内の集会参加者

 県内各地で3日に開かれた憲法を考える催し。施行70年の節目に、安倍晋三首相が自衛隊を憲法に明記し、2020年に施行したいとした改憲方針を打ち出した。現憲法の価値を訴える人たちからは批判が相次いだ。一方、改憲を求める人たちは歓迎しつつも、戸惑いの声も聞かれた。

 「憲法を守らなければいけない立場の人が改憲しようとするのは暴走では」。長野市で護憲団体などでつくる実行委員会が開いた集会に参加した長野市の公務員男性(51)は首相の方針をそう受け止めた。集会には約650人が参加し、改めて憲法の大切さを確かめた。

 諏訪市では、「明日の自由を守る若手弁護士の会」の村越芳美弁護士(群馬県高崎市)が講師を務める「憲法カフェ」があり、約50人が憲法と生活の関わりを学んだ。主催した「諏訪地方憲法集会」の荻原賢樹会長(66)=茅野市=は「改憲議論が深まっていない状況で(改憲の)時期が示されたのは、とても深刻な事態だ」と受け止めた。

 伊那市では実行委主催の憲法記念日の集い・講演会があった。信濃毎日新聞の丸山貢一論説主幹が講演し、駒ケ根市出身の憲法学者・芦部信喜(のぶよし)さん(1923〜99年)が現憲法を「比類なき徹底した戦争否定の態度を打ち出している」と評価していたと解説。伊那市の男性会社員(62)は、首相方針の自衛隊の明文化や教育無償化などは「本質を隠し、受け入れやすいところから手を付けようとする印象」と述べた。

 東御市役所前では「平和を希(ねが)う市民のつどい」が開催。「平和と人権を守る都市宣言」を刻んだ記念碑の前で、戦争体験者、地元遺族会役員、子育て中の母親など約60人が集い、平和の尊さや憲法の大切さを語り合った。つどい実行委員会代表の田中貞見さん(62)は、首相が改憲時期を明言したのに驚いた。首相は国民的議論と口にするが、「議論をする姿勢が見られない…」と疑問に感じた。

 改憲を目指す「美しい日本の憲法をつくる長野県民の会」は、都内で開かれた改憲派集会をインターネット中継で見る催しを長野市で開いた。会共同代表の若林正俊元農相はあいさつで「これからの国家、国民の命と財産をどう守っていくのか」を考えたいとした上、「現憲法で北朝鮮の脅威から日本を守れるだろうか」とした。

 ネット中継では首相のビデオメッセージも流れ、参加者は首相発言を歓迎。ただ、同会メンバーで9条第2項の撤廃を求める宮本衡司県議(自民党、飯山市・下水内郡)は、第2項を残し、自衛隊の存在を追加する首相の案には「いささか疑問がある」。戦力を持たず交戦権を否定した2項を残し、自衛隊を明記する場合に「どういう位置付けにするのだろうか。矛盾と捉えられるといけない」と戸惑っていた。

(5月4日)

長野県のニュース(5月4日)