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「憲法と君たち」は、戦後の新憲法制定に重責を担った佐藤功さんが子どもたちに向けて書いた本だ。巻頭に掲げたのと同じ言葉で最後を結んでいる。〈もう一ど言おう、「憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る」〉

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1955年の刊行から時を経て、憲法施行70年を前に復刻出版された。大人も子どもも、一人一人にかけがえのない尊さがある。それが強い力によって踏みにじられないように守るのが憲法だと述べている。だから、憲法が破られようとしたなら国民が守らなくてはならない、と

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国の憲法だけではない。学校の決まりも、字には書かない家族の約束事も、本来、一人一人を尊重し、幸せを守るためにある。その「小さい憲法」を大事にする。それが、大人になって憲法を守る一番の「おけいこ」になるのだと佐藤さんは語りかける

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大人が子どもを支配して、言うことを聞かせようとつくった決まりなら、それを憲法とは呼べない。はね返すのが、守ることになる。力を持つ人に勝手なことをさせないために憲法はある。「小さい憲法」に目を向け、何よりも子どもたちに学び取ってもらいたいのはそのことだ

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かつて信濃毎日新聞の主筆を務めた桐生悠々は「立憲的訓練」の必要を説いた。憲法に基づく政治とは何かを子どものころから体得しておくことが議会や政党の堕落を防ぐ。佐藤さんが言う「おけいこ」と重なる。憲法を守るとはどういうことか。大人も、ともに学び直したい。

(5月5日)

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