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県内「子ども食堂」急拡大 予定含め18市町30カ所に

 無料や低料金で地域の子どもに食事やだんらんの場を提供する、いわゆる「子ども食堂」の試みが県内でもこの1年余りで急拡大し、予定も含めて少なくとも18市町に30カ所あることが4日、信濃毎日新聞のまとめで分かった。「子どもの貧困」が社会問題になる中、「健康で文化的な最低限度の生活」を全ての国民に保障した憲法の精神を、地域のつながりの中で取り戻そうとする動き。学習支援や多世代交流も交えた多彩な展開を見せている。

 県内では昨年1月、電話での悩み事相談や困窮者支援に取り組むNPOホットライン信州(松本市)が「信州こども食堂」を長野市で始め、各地で開設が相次いだ。実施主体は、住民有志や自治会、NPOなどの民間が25カ所と最も多い。身近な地域課題として関心を持ちやすく、関わりやすいためとみられる。

 一方、行政が関わる例は、直営の上高井郡小布施町教委の他は、民間委託で6月から順次3カ所で開く千曲市などがある。昨年度、県の委託で開いた松本市の「なみカフェ」、飯田市の「かふぇじゅく」(終了)のうち、なみカフェは本年度、NPO法人と自治会が活動を続けている。松本市は本年度、実施団体への交付金制度を設けた。

 開催日では、毎日開いているのは塩尻市の「しおじりふれあい食堂」のみ。市内でフランス料理店を経営する友森隆司さん(38)の呼び掛けでこの2月から、塩尻志学館高校の生徒らも協力して夕飯などを提供している。他は週1回以上が予定を含め5カ所あるが、ほとんどは月1回程度で、2、3カ月に1回という例もある。運営費や食材調達、ボランティアスタッフの確保などの課題がうかがえる。

 並行して無料の学習支援も広がっており、本紙のまとめでは全県で少なくとも約30カ所で実施。地元に学習塾がなかったり、学力向上が主目的だったりする例が多いが、経済的理由で機会に恵まれない子どもへの支援にもなっている。食事提供と学習支援、地域・世代間交流を組み合わせた子どもの居場所づくりの試みも見られる。

 背景には、18歳未満の子どもの貧困率が2012年に16・3%と過去最も高くなり、13年に「子どもの貧困対策推進法」が成立するなど、格差社会への危機感が地域にも広まってきたことがある。

 松本市内で自らも学習支援などに関わる松本大の尻無浜(しりなしはま)博幸教授(52)=社会福祉学=は民間活動の拡大について「身近で子どもが苦しんでいるかもしれないという危機感の表れ」と指摘。一方、自らの貧困状態を当事者が認識していない場合も多いとし、「本来必要な子どもに支援を行き届かせるためには、行政も課題を共有し、より積極的に活動を後押しする必要がある」としている。

(5月5日)

長野県のニュース(5月5日)