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中電が市町村別販売量非公表 温暖化対策に影響

 中部電力(名古屋市)が、これまで各自治体に公表してきた市町村別の「販売電力量」を2016年度から非公表とし、県内自治体の温暖化対策に影響が出ていることが5日、分かった。伊那市は、販売電力量を基に二酸化炭素(CO2)排出量を算定して排出削減の目標を立てているが、状況が把握できなくなっている。環境省は、中電以外にも同様の対応をしている電力会社があるとし、「温暖化対策の進捗(しんちょく)評価などが著しく困難になった、との声が全国の自治体などから出ている」としている。

 16年4月の電力小売り全面自由化で、電力を販売する新規事業者(新電力)が参入。これを受け、中電広報部は「販売戦略に関わるため」と非公表の理由を説明している。

 販売電力量(単位・キロワット時)は、中電が家庭や商店、小規模事業所などに売った電力の総量。このデータを基に自治体は、火力発電所などが排出したCO2の量を推計。ガソリンや灯油の使用分などと合わせて自治体全体のCO2排出量を計算する。環境基本計画などに位置付け、基準とする年度までに何%削減する―といった目標を立てている。

 中電は15年度まで、問い合わせのあった自治体には個別に販売電力量を伝えていた。だが、16年度からは、中電の契約者が多い長野、愛知、岐阜、静岡、三重5県全てで市町村別の販売電力量を非公表にした。

 伊那市では、12年4月に地球温暖化対策実行計画が完成。CO2を18年度までに、1990年度比で6%削減すると定めている。市は毎年4月と10月、中電から市内の販売電力量のデータを聞き、CO2排出量の推移を確認してきた。だが、非公表となったため、市生活環境課の担当者は「これまでと同じように評価できなくなった」と困惑する。

 中電広報部は、新電力参入で「(当社が)提供する電力量が、自治体の求める(全体が分かる)ものにそぐわなくなった」と説明。新電力への対抗上、販売実績などに関わる数値はできるだけ公表しない意図もあるとみられる。

 環境省は3月下旬、温暖化対策などに関する文書の中で、市町村別の販売電力量が非開示となる傾向がある―と指摘。電力業界を名指ししていないものの「温暖化対策の観点から情報提供は極めて重要で、早急な取り組みが期待される」との見解を示した。

 全国の大手電力会社10社でつくる電気事業連合会(東京)は、10社から情報提供を受け、15年度まで月別の販売電力量を公表していたが、16年度からは取りやめている。

(5月6日)

長野県のニュース(5月6日)