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原発燃料処分 先送りはもう限界だ

 原発は「トイレのないマンション」と批判される。指摘されてきた矛盾の一部が浮き彫りになった。

 廃炉が決まった全国の原発17基のうち7基で、使用済み核燃料計約610トンの搬出先が確定していないことが表面化した。解体が計画通りに進まない可能性がある。

 使用済み核燃料は再処理して、プルトニウムとウランを回収する。後に残る高レベル放射性廃棄物はガラス固化体にして、地下300メートルより深く埋めることになっている。その処分地は決まっていない。搬出先が決まらないのは、最終的な核のごみの行き場がなく、途中で処理が行き詰まっているためだ。

 使用済み核燃料は長期にわたって極めて強い放射線を出す。運転が続けば総量はさらに増える。見通しがないまま、動かし続けることは認められない。問題を先送りにしてきた政府と電力会社の責任を問わねばならない。

 日本にある使用済み核燃料は約1万8千トン。フランスなどに委託して再処理した分を含めると、ガラス固化体換算で2万5千本相当になる。使用済み核燃料は、原発に併設されているプール施設などに保管されたままだ。

 廃炉が決まると、併設されていたプールも将来、取り壊される。そうなると、保管されていた核燃料の行き場がなくなる。

 搬出先が決まっている核燃料も問題を抱える。搬出先の多くは、同じ敷地内にある別の建屋のプールである。

 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は、廃炉になった1、2号機の使用済み核燃料を4、5号機のプールに移す。その結果、同原発のプールの貯蔵量は許容量の86・9%に上る。3〜5号機全てが再稼働すれば、2年余で上限に達する。満杯になれば搬出先は簡単には見つからないだろう。

 脱原発へのプロセスとして必要なことは、当面の保管先を確保することだ。

 保管方法を電力を使う水冷より安全性が高いとされる空冷の乾式貯蔵に切り替え、原発敷地などに施設を建設することも考えられる。長期保管につながる乾式貯蔵施設の建設は、地元自治体の同意が必要だ。理解を得るには、保管期限を厳密に定め、その間に最終処分する手段や処分地を見つけ出すことが求められる。

 まずは原発を稼働させる期間と基数を明確にして、処分する核のごみの総量を決めるべきだ。先送りはもう限界に来ている。

(5月7日)

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