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安保をただす 敵基地攻撃 専守防衛が名ばかりに

 日本が国是としている「専守防衛」が名ばかりになっていく。安倍晋三政権の前のめりな安全保障政策を、国会で厳しく追及しなくてはならない。

 政府が巡航ミサイルの導入に向け、本格的な検討に入った。

 北朝鮮による脅威が高まっていることを理由に、ミサイル発射拠点を破壊する「敵基地攻撃能力」の保有を目指す姿勢を鮮明にした格好だ。来年度予算案に調査費を計上する考えも出ている。

 敵基地攻撃を目的とした装備を持つことは、日本が堅持してきた専守防衛の基本方針を逸脱する恐れが強い。先制攻撃とも背中合わせの問題であり、憲法に反する可能性もある。

 安倍政権は安全保障関連法を軸に自衛隊の活動を大きく広げている。国民の理解が深まっていない段階で、9条の実質改憲につながるような既成事実を積み重ねることは認められない。

 敵基地攻撃能力を巡っては、自民党が3月下旬、首相に能力保有を検討するよう求めた。このとき菅義偉官房長官は「種々の検討を行いたい」と述べている。

 政府が導入を想定する巡航ミサイルは米国の「トマホーク」だ。朝鮮半島情勢が緊迫化し、トランプ米政権が自衛隊の任務や役割の拡大に期待していることを追い風にする考えとみられる。

 日本が巡航ミサイルを保有することに慎重だった米政権の態度が軟化したことが大きい。政府内から予算措置の話が出ていることも含め、能力保有がより現実味を増したと考えるべきだろう。

 安倍首相は国会で「他に手段がないと認められるものに限り、敵の基地をたたくことも自衛の範囲に含まれる」と答弁した。

 しかし、問題は多く、影響はあまりに大きい。具体的にどうした状況が当てはまるのかがはっきりしない。何より、相手国による攻撃の兆候を明確に把握することができるのか、疑問が募る。

 トマホークは4月のシリア攻撃でも使われた。地中海に展開する米海軍の駆逐艦から発射されている。日本でも海上自衛隊のイージス艦への搭載が有力視される。その際、艦船の改修が必要になり、防衛費の増大を招く。

 日本が敵基地攻撃能力の保有に突き進めば、周辺諸国を刺激し、軍拡競争を加速させることになるのは間違いない。平和国家の看板に傷を付けてはならない。

(5月7日)

長野県のニュース(5月7日)