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英議会下院が解散された。メイ首相はその日バッキンガム宮殿にエリザベス女王を訪ね、解散したことを報告している。中世の英国では、解散は言うことを聞かない議員を首にする国王大権だった。その伝統を引き継ぐ報告なのだろう

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先進国では、議会の解散に厳しい制約を課しているのが普通である。英国は6年前の新規立法で首相の要請により下院を解散する国王の大権を廃止した。いま首相に解散権はない。5年の任期半ばで解散するには議席の3分の2以上の賛成を必要とする

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今回は主要政党がそろって解散に賛成した。選挙に勝利して政権の主導権を強化し、欧州連合(EU)との離脱交渉に強気で臨みたいメイ首相。離脱交渉の前途が見えない状況を突いて、政権復帰のチャンスをつかみたい野党労働党―。思惑が絡み合う選挙は6月8日に行われる

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日本では衆院解散は「首相の専権事項」と呼ばれることが多い。本当にそうか。首相が思うままに、国民が選んだ議員の首を切ることが許されるのか。天皇は内閣の助言と承認により衆院を解散する、との憲法7条3項の解釈とともに、議論は尽きない

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いつでも解散できる仕組みは首相にとって有利すぎる。安倍晋三首相は3年前、野党の準備不足を見透かして解散し大勝した。その結果が、首相1強と呼ばれるいまの政治状況である。メイ首相は与野党を通じた賛成があってはじめて解散できた。日本でも解散権制約の議論をするときだ。

(5月7日)

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