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ハワイ向け米作り開始 伊那に移住の2人

伊那市長谷に移住し、水田の整備を始めた(左から)出口さん、市川さん伊那市長谷に移住し、水田の整備を始めた(左から)出口さん、市川さん
 国産米の海外輸出を手掛ける札幌市の企業「WakkaJapan(ワッカジャパン)」が、伊那市長谷の水田で、米ハワイ向けのコメ生産に向けて田起こしなどを始めた。コメの自社生産は初めてといい、社長の出口友洋さん(38)=札幌市出身=と市川滋彦さん(42)=中野市出身=が4月から、長谷に移住して作業を進めている。

 同社は稲作を始めるため、農業法人「WakkaAgri(ワッカアグリ)」を設立。長谷の非持地区で約40アール、黒河内地区で約70アールの水田を住民から借り受けた。非持地区の田んぼは、出口さんが「作業をした後、景色を見ながらここでおにぎりを食べたら最高だな」と話す通り、眼下に澄んだ美和湖が広がり、山並みも広く望める場所だ。

 健康志向の米国人の需要に合わせ、玄米で食べるとおいしい品種「カミアカリ」の生産を予定。農薬や化学肥料を使わず、水を張っていない田んぼに直接種をまき、ある程度育ったら水を入れる農法を採用。水田の周囲に穴の開いたパイプを埋め、水路の水を地中でしみ出させる地下かんがいを用いる。

 水位が調整しやすく、水路の水にまじる雑草の種が地下にとどめられ、雑草を減らせる利点もある―と出口さん。自然農法による付加価値に加え、「田植えや草取りの重労働が減らせれば、中山間地の高齢者の助けにもなるかもしれない」と試みる。

 今年は黒河内地区は水田整備のみを行い、非持の田んぼで生産する。うち約10アール分の棚田では、伊那谷在来種のもち米「白毛餅米(しらけもちまい)」を作る予定。「自分たちの売る米が日本人にとってどれだけ大切な『文化』なのかを感じたい」と、社員が研修を兼ねて田植えを体験するという。

 カミアカリは900キロ、もち米は300キロの収穫を見込んでおり、順調に行けば今年秋ごろには「thericefarmNAGANOINA」の商品名で、ハワイの自社店舗に並ぶ。出口さんは「変わったことをしていると地域の人が話し掛けてくれるので、徐々に受け入れてもらえたらいい。いずれは地元の信州大農学部や上伊那農業高校とも連携したい」と話している。

(5月10日)

長野県のニュース(5月10日)