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安保をただす 武器等防護 丁寧な説明はどうした

 安全保障関連法に基づき初めて行われた新任務「武器等防護」について、政府は説明を避けている。

 国民に見えない形で自衛隊の活動が拡大していくのではないか。当初からの懸念が膨らむ。必要性、妥当性を検証できるよう政府は詳細を明らかにする必要がある。

 武器等防護は、自衛隊が弾薬や艦船を守る任務だ。状況に応じて必要とされる限度内で武器を使える。安保法によって従来、自衛隊だけだった対象が「日本の防衛に資する活動」をしている米軍など他国軍にも広げられた。

 新任務を実施したのか国会で問われた首相は「米軍への影響もあり、差し控える」とし、護衛艦が1〜3日に米補給艦と訓練をしたとの答弁にとどめている。

 政府は昨年12月、国家安全保障会議(NSC)の9大臣会合で運用指針を決め、その日に運用を始めていた。指針は日本の防衛に資する活動として▽弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動▽重要影響事態の際の輸送、補給―などを挙げている。

 今回は、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が1日に横須賀基地を出発して米艦に合流、護衛艦「さざなみ」も2日に呉基地を出て合流した。周囲の警戒監視などをしながら鹿児島県の奄美大島沖まで航行し、任務を終えたとされる。

 攻撃を受ける可能性の低い太平洋側での活動だ。必要だったのか疑わしい。南スーダン国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」は行われないまま、撤収が始まった。安保法の実績作り、既成事実化を狙って武器等防護を実施したのではないか。

 NSCで審議した上で稲田朋美防衛相が実施を決定したとされている。稲田氏は新任務が始まった1日に登庁せず、コメントも出さなかった。NSCの開催後に発表された政府資料にも議題として記されていない。どう議論し、判断したのか分からない。

 運用指針は活動の公表基準について「自衛隊や米軍などへの具体的な侵害」や「実施中の特異な事象」が発生した場合と定める。もともと透明性に疑問があった。

 安保法の審議で首相は「国会報告の対象ではないが、最大限情報を開示し、丁寧に説明する」と述べていた。今回の対応は懸け離れている。国会で質問にきちんと答える責任がある。

(5月11日)

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