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韓国新大統領 混乱と停滞に終止符を

 韓国の新しい大統領に革新系政党「共に民主党」の文在寅氏が就任した。対北朝鮮での連携をはじめ、日本にとって重要な隣国である。国政の早期立て直しを期待する。

 朴槿恵前大統領の罷免に伴い前倒しで行われた大統領選だ。保守系旧与党「自由韓国党」や中道野党「国民の党」の候補らを引き離して当選した。革新政権は約9年ぶりになる。さっそく首相候補らを指名している。

 文氏は公正な社会の実現、政府主導による81万人の雇用創出などを公約に掲げた。若者の失業率の高さや、財閥系企業と中小企業の待遇格差が問題になっている。変革を求める民意の強さが選挙結果にうかがえる。

 朴氏の親友の国政介入を巡る混乱、罷免による大統領不在で国政の停滞が続いてきた。文氏は、中央選挙管理委員会の会議で当選者と認定された時点で大統領に就いた。任期満了での交代と違い、すぐさま内外の諸課題に取り組まなくてはならない。

 就任宣誓後の演説で「国民全ての大統領になる。支持しなかった人にも仕える大統領になる」と述べ、国民統合を呼び掛けた。少数与党のため、自由韓国党に協力を求めている。政権を軌道に乗せられるか、手腕が問われる。

 外交面では、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応が大きな焦点だ。前政権が日米と連携して圧力を強めてきたのに対し、文氏は北朝鮮との対話の必要性に繰り返し言及してきた。演説では「条件が整うなら(北朝鮮の)平壌にも行く」と述べている。

 6カ国協議の再開を唱え、核放棄の協議に北朝鮮が応じた時点で南北経済協力事業も再開できると表明してきた。対話による解決を探ることは、むろん大事だ。関係国とどう足並みをそろえ、核放棄を迫っていくのか。方針を具体的に示してもらいたい。

 米韓関係には気掛かりな点もある。韓国で初期運用が始まった米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の扱いだ。中国が反発しており、文氏は「米国、中国と真摯(しんし)に協議する」と述べている。判断を注視する必要がある。

 日本に対しては、従軍慰安婦問題の合意について再交渉する考えを示している。日本政府は履行を求めていく考えだ。安倍晋三首相は早期に電話会談を行いたいと表明した。関係が冷え込むことのないよう新政権との信頼構築を急がなくてはならない。

(5月11日)

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