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1本のろうそくの身の上話をします―。1860年、英国の科学者マイケル・ファラデーは少年少女への講演をこう切り出した。熱で起きた規則正しい上昇気流がろうそくの外側を冷やし、芯(しん)の毛細管現象で絶えず燃料が供給される

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燃え続けることができる仕組みを分かりやすく説いている。〈宇宙のいたるところを支配する法則で、このろうそくにあらわれる現象に作用しない、また関係しないものは一つもないのです〉。講演録をまとめた白井俊明訳「ろうそく物語」から引いた

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ろうそくは古来、照明や宗教儀式に使われてきた。近年は集会など政治運動の象徴に用いるようになった。韓国ではソウル中心部に数十万人の市民がろうそくを手に集まり、朴槿恵大統領の退陣を求めた。昨秋から続いたこの民衆運動を新聞各紙は「ろうそく革命」と伝えている

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大統領の親友による国政介入が発端だ。格差や雇用不安も絡んで若者を中心に社会の変革を求める運動に広がった。大統領罷免に伴う選挙で革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅氏を当選させている。「ろうそく集会」に積極的に足を運んだ候補だ

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〈革命より改革はさらに難しい。実を結ぶまでには苦しい過程が待っている〉=ハンギョレ新聞社説。激しい選挙戦を終え冷静な論議を呼び掛ける声も出てきた。ろうそくの火は芯が吸い上げる量と蒸発して燃える量のバランスが大切という。改革の灯火も長く静かに燃やし続けてほしい。

(5月11日)

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