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大逆事件の過ち二度と 「共謀罪」相次ぎ反対声明

 1910(明治43)年に現在の安曇野市で発覚し、社会主義者が弾圧を受けた「大逆事件」の犠牲者の顕彰などに取り組む全国の団体が相次いで、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に反対する声明を出した。大逆事件では恣意(しい)的な捜査により、犯行を企てる「謀議」があったと認定され、多数の無実の人たちが逮捕、処刑されたとされる。各団体は「歴史の過ちを繰り返してはならない」と訴えている。

 声明を出したのは、「大逆事件の真実をあきらかにする会」(東京)、「『大逆事件』の犠牲者を顕彰する会」(和歌山県新宮市)、「幸徳秋水を顕彰する会」(高知県四万十市)、「管野須賀子を顕彰し名誉回復を求める会」(大阪市)。地元の6人が処刑されるなどした新宮市の「顕彰する会」が4月10日に最初の声明を発表。他の3団体が続いた。

 事件では、爆弾による明治天皇暗殺を企てたとする容疑で、管野や幸徳秋水ら多数の社会主義者が逮捕、処刑された。だが、当時の捜査は実況見分をしておらず、今も事件現場は特定されていない。計画を伝え聞いたり、幸徳と会ったりしただけで「謀議」をしたとされ、逮捕される人が続出した。

 研究者らでつくる「あきらかにする会」は声明で、当時の政府が、政府に批判的だった幸徳らに天皇暗殺を企てたという罪を着せて弾圧したと指摘。その後、言論封殺が強まり、日本は太平洋戦争に向かったとする。

 同会の事務局長で明治大教授の山泉進さん(69)=東京都=は、大逆事件について「捜査機関の恣意的な判断で、謀議があったとされた」と指摘。テロ等準備罪の構成要件について「非常に曖昧」と指摘し、「大逆事件当時のような運用につながりかねない」としている。

 専門家によると、大逆事件に関連する団体は全国に十数あり、会員は300人を超えるという。

(5月13日)

長野県のニュース(5月13日)