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駆け出しのころ珍しく一気に読んだのが「大統領の陰謀」だった。ウォーターゲート事件でニクソン米大統領を辞任に追い込んだ記者のノンフィクションは映画にもなっている。ある村の図書室で見つけ仕事そっちのけで読みふけった

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2人のワシントン・ポスト紙記者が真相に迫れたのは「ディープスロート」と呼ばれた情報提供者がいたことが大きい。取材の方向にヒントを与え事件の本丸へと導く。それが誰かは秘匿され、FBI副長官だった本人が告白したのは30年余り後だった

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当時の大統領側近に対するFBIの捜査にはホワイトハウスから圧力がかかり副長官は苦しい立場だったという。ニクソン氏は自分を調べる特別検察官を解任して捜査を妨害した。今度はトランプ大統領によるコミー長官の電撃解任である。ウォーターゲートをほうふつとさせる

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FBIの捜査対象は犯罪組織だけでなく政府の汚職、テロ、スパイなど幅広く、盗聴や捜索など強い権限を持つ。半世紀近く君臨したフーバー長官は集めた情報で地歩を固め、大統領をも威圧した。その後、任期は10年までとされたが、大統領より長い

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よほど政権に困ることがあったのか。大統領選のとき側近がロシアと関係した疑惑で捜査を強化しようとしたから、とも指摘される。強権発動で足元を揺さぶられるFBI。またディープスロートが現れるのか、本のように面白がっていられない。混乱のとばっちりは日本にも飛んで来る。

(5月13日)

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