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北朝鮮ミサイル 対話機運を損なう行為

 北朝鮮が新型とみられる弾道ミサイルの発射を強行した。

 トランプ米政権が北朝鮮の生命線を握る中国を取り込み、新たな国際包囲網の構築を急ぐ中である。

 金正恩体制が核戦力の獲得を最優先にしていることを改めて示した。米国を中心とする硬軟両様の対応などで、対話の機運が生まれるとの期待もあった。それを損なう結果を招いている。

 北朝鮮の瀬戸際戦術は続くだろう。軍事的緊張をいたずらに高める行為は容認できない。

 北朝鮮の通信社は、新型の中長距離弾道ミサイルの発射実験を行い、成功したと報じた。高度は過去最高の2千キロ超に達し、米軍の要衝となっているグアムが射程に入る4千キロ超を飛ぶ能力があったとの見方も出ている。

 通信社は、金正恩氏が核兵器や弾道ミサイルをさらに製造し、必要な実験準備を進めるよう指示したとも伝えている。

 北朝鮮では先月、故金日成主席の生誕記念日や最高人民会議の開催など、重要な政治日程が相次いだ。国内の結束を図るため、核実験に踏み切るとの観測が強まり、米国は空母を派遣するなど、軍事的圧力をかけ続けた。

 その一方、中国には北朝鮮への圧力を強めるよう迫り、中国は応じたとされる。さらに、トランプ政権は北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すれば、体制転換を求めない、軍事進攻はしない―などとする方針を表明。対話で解決する姿勢もにじませた。

 今回のミサイル発射は、米国ががあの手この手で北朝鮮の態度を軟化させようとしているさなかに行われた。米中両首脳のメンツをつぶすだけでなく、緊張緩和の取り組みに冷や水を浴びせる格好となった。北朝鮮に融和的な姿勢を示す韓国の文在寅新政権も難しい対応を迫られそうだ。

 問題は、なぜ北朝鮮がここまで強硬姿勢を貫いているかだ。米中の圧力には屈しないとの意思を内外に示すとともに、中国の意のままにはならないことを米側に認識させようとの目的があるのではないか。仮に米国と交渉に入った際には優位な立場を確保する狙いがあるようにも思える。

 トランプ政権は、今回の発射を受け、一層厳しい制裁を北朝鮮に科すよう国際社会に呼び掛けた。内政面で行き詰まるトランプ氏が軍事力に頼る可能性も否定できない。不測の事態を招かぬよう、日本を含む関係各国は緊密に連携しなくてはならない。

(5月16日)

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