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加計学園文書 政府は疑惑に答えよ

 岡山市の学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡り、重大な疑惑が持ち上がった。

 計画について「総理の意向」などと記した文書だ。文部科学省が内閣府とのやりとりなどを記録したものとされる。

 学園の理事長は安倍晋三首相の友人が務める。記載された内容が本当なら、見過ごせない問題である。事実関係をはっきりさせなくてはならない。

 政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部を新設する計画だ。2018年4月開設を予定する。獣医学部が新たに設けられるのは1966年以来、52年ぶりになる。

 政府は1月に事業計画を認定した。今治市は36億7500万円で取得した市有地を無償譲渡、施設整備費96億円を助成する。事業者の募集期間は8日間で、応募したのは加計学園だけだった。

 民進党など野党は大阪市の学校法人森友学園への国有地売却問題に似た構図だとし、首相の関与について追及してきた。

 首相は「相談があったことや圧力をかけたことは一切ない」と関与を全面否定している。「私との付き合いは全く考慮されない。考慮して認定するなら、組織としておかしい」とも述べていた。

 民進の玉木雄一郎氏が衆院文科委員会で取り上げた文書によると文科省は、特区を担当する内閣府から「最短距離で規制改革のプロセスを踏んでいるので、設置時期については総理のご意向だと聞いている」などと伝えられた。

 文科省側が18年4月の開設を無理だと考え、1年遅らせるよう求めたことも記載されている。これが事実だとすれば、首相の意向を受けて政府の決定がゆがめられた可能性がある。

 菅義偉官房長官は記者会見で事実関係を否定した。「誰が書いたか分からない。こんな意味不明のものについて、いちいち政府が答えることはない」としている。問答無用の口ぶりだ。

 文科委で松野博一文科相は「特区に関する対応に向けた文書は作成された可能性はあると思う」とし、「どういう経緯のものか確認させてほしい」と述べている。菅氏は文科省の事実確認を待とうともせずに否定した。納得できるものではない。

 獣医学部の新設にどんな経緯があったのか。府省間のやりとりはどのようなものだったのか。文書が本物でないというのなら、文科省と内閣府の記録を示すなど根拠を明確にする必要がある。

(5月18日)

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