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個人情報保護 委員会が担う重い役割

 改正個人情報保護法がきのう全面施行された。個人情報の保護と活用の両立を目的にした改正である。

 一番のポイントは、政府から離れた立場で法の運用に目を光らせる個人情報保護委員会を作ったことだ。細かなルールを定め、消費者の苦情や業界の相談に応じる。

 個人情報保護を巡っては、役所が情報を出し渋る傾向が強まっている。情報は役所のものでも企業のものでもない。委員会には国民、消費者の利益を第一に考えた運用に徹してもらいたい。

 2005年の施行以来初めての大きな改正である。情報技術(IT)の進展に合わせ、これまでなかったタイプの情報を「個人識別符号」として保護対象に加えた。DNA、声紋、掌紋、手のひらの静脈パターンなどだ。

 個人を特定できないようにした「匿名加工情報」の分類を新しく設け、本人の同意なしに売買できるようにした。例えば通販会社が顧客の氏名、年齢、住所などを削除した購入履歴を他社に売るといったケースである。

 人種、病歴、逮捕歴など特に注意を要する情報は「要配慮個人情報」として厳格な扱いを義務付けた。本人の同意がないと情報を取得、提供できない。

 ビッグデータの時代である。買い物、交通機関の利用、ネット接続などあらゆる情報が収集され、分析、加工、利用されている。広く網を掛けるのは当然だ。

 情報の世界は変化が激しい。昨日まで問題なく通用していたルールが、新しい状況の下でそぐわなくなることはよくある。運用は常に見直す必要がある。

 そこで大事になるのが個人情報保護委員会だ。

 委員は常勤、非常勤合わせて8人。消費生活や情報処理、システムの専門家らで構成されている。委員長にはプライバシーや情報公開制度に詳しい一橋大学名誉教授の堀部政男氏が就いた。

 委員会は改正法の全面施行に先行して昨年1月から活動を始めている。国民、消費者の権利、利益が損なわれないよう、丁寧に目配りしてもらいたい。

 個人情報に関わる行政は経済産業省、総務省など業界ごとの監督官庁がばらばらに担ってきた。これからは委員会が一元的に担当する。この分野は政府から独立した機構が担うのが先進国では普通という。日本もようやく国際標準に追いつく形になる。

 事務局とスタッフの強化は今後の課題の一つになるだろう。

(5月31日)

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