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加計学園問題 政府の逃げ得を許すな

 「行政の在り方がゆがめられたと思っている」。文部科学省の前事務次官が記者会見で明言したにもかかわらず、政府は加計学園を巡る疑惑に正面から答えようとしない。

 問題をすり替えたり論点をそらしたりする政府の対応を見過ごすことはできない。真相を解明する国会の責任は重い。

 岡山市の学校法人加計学園の獣医学部新設について文科省の前川喜平前次官は先週、内閣府とのやりとりを記した文書の存在を認めた。「官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向」などと記載されたものだ。

 さらに今週、新たにコメントを公表した。和泉洋人首相補佐官から、獣医学部設置の特例について対応を早くしてほしいと求められていたという。「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」との趣旨の発言もあったと明らかにしている。

 首相の意向に沿って計画が不当に進められたのではないか。深まる疑念に対し、政府は「圧力が働いたことは一切ない」などと否定の言葉を繰り返すばかりだ。

 国家戦略特区制度の意義を強調することで追及をかわそうとしてもいる。首相は国会で「規制改革には抵抗勢力が必ず存在する。安倍内閣は絶対に屈しない」と改革姿勢をアピールした。

 規制改革と言いながら、新設させないという規制は残したままである。首相の「腹心の友」が理事長を務める学園だけに設置への道を開いた。問われているのは、この認定が公平、公正に行われたのかどうかだ。

 前川氏は「極めて薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた」とも述べていた。新設には▽既存にない構想▽新たに対応すべき具体的な需要―など4条件を満たす必要があるのに「条件に合致していると実質的な根拠を示して説明されていない」との指摘である。

 政府は「関係法令に基づき適切に実施」したとする。条件をどう満たしているのか、根拠を示さなければ説得力を持たない。

 開学時期を巡っても不透明な点がある。「2018年4月」との方針を内閣府が公表する前に学園に伝わっていたとみられる。特区を所管する山本幸三地方創生担当相は「加計学園ありきという指摘は当たらない」とするものの、疑いは強まるばかりだ。

 野党は前川氏らの証人喚問を要求している。前川氏も要請があれば受ける考えを会見で示した。政府の逃げ得を許してはならない。

(6月1日)

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