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県内市町村議会など「共謀罪」意見書、閲覧ゼロ

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案に反対する意見書を書くために参考にした資料を見直す飯綱町議会の渡辺町議「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ法案に反対する意見書を書くために参考にした資料を見直す飯綱町議会の渡辺町議
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、地方議会が衆参両院に提出した意見書の中身が国会議員にほとんど読まれていないことが分かった。安倍晋三首相が今国会への提出方針を打ち出した1月以降、県内からも多くの意見書が両院に送られ、6月に入っても可決が続いているが、両院によると、国会議員の閲覧の問い合わせは6月7日時点でゼロ。法案への懸念や慎重審議を求める地方の訴えが届いているのか疑わしい現状に、市町村議員からは憤りの声も出ている。

 両院それぞれの請願課のまとめによると、1月以降に提出された「共謀罪」「テロ等」「組織犯罪処罰法」が件名に含まれる意見書は、6月7日までに衆院43件、参院42件。うち県内の市町村議会が提出した意見書は衆院13件、参院12件に上り、ともに全国で最も多い。県内ではこの他、安倍晋三首相や金田勝年法相宛ての意見書も一定数提出されているとみられる。

 法案の適用対象となる「組織的犯罪集団」の認定が捜査機関の裁量に任されることなどから、思想信条の自由や人権が侵されかねないと懸念、国民理解も進んでいないとして、反対や慎重審議を求める内容が目立っている。

 意見書は、両院の公報に件名、提出した市町村議会名の一覧が掲載される。国会議員が文面を見るには請願課に問い合わせて閲覧する仕組みだが、同日時点で1件もない。

 衆院では法案を審議した法務委員会に件名と議会名の一覧表が配布されたが、参院の法務委では行われていない。衆院には、議員がインターネットで意見書の文面を閲覧できる仕組みがあるが、どれほどの利用があるかは不明。参院は、ネット閲覧の仕組みも設けていない。

 こうした現状について、県選出の野党衆院議員の一人は「世論を知る一つの指標として気にしている」としつつ、「与党は衆院で採決を強行した。今回は地方の意見を反映させる以前の問題」。与党衆院議員の一人は「県内から多く意見書が出ていることは知っている」とした上で、「内容は推測できるので読んでいない」とする。

 3月下旬、上水内郡飯綱町議会は、議長を除く12人のうち11人の賛成で「物言えぬ監視社会を作ることになる」とする反対意見書を可決した。

 文面をまとめた渡辺千賀雄議員(72)=共産=は「町民の問題として捉え、多くの議員や町民の納得を得られ、国会議員に伝わるよう書いた」。国政選挙では与党候補を支援することが多いという無所属の原田重美議員(73)も「一般市民への監視強化」を懸念、意見書を踏まえて国会で慎重に議論してほしいと提出に賛成した。「読まれていないとすれば、地方議会の声を無視している」と憤る。

 3月下旬に反対の意見書を可決した下伊那郡豊丘村議会の議員(70)も2日間かけて文案を考えたとし、「国会議員であれば、地域の声に耳を傾け、判断に生かすのが当然のはず」と話している。

(6月11日)

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