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秘密法の運用 国会軽視の実態あらわ

 参院情報監視審査会が年次報告を公表した。異例の内容だ。

 政府による特定秘密の指定が適切かどうかという中身の問題に踏み込まないまま、政府の情報提供の姿勢を巡る議論に終始している。

 特定秘密保護法の運用監視機関である審査会に対しても、政府は情報提供を拒んでいる。秘密法は民主主義の仕組みと両立しない。廃止するほかない。

 報告書によると、審査会は過去1年の間に12回開いた。そのうち6回は政府から説明を受けるなど準備作業に充てた。実質的な質疑は残り6回だ。

 報告書では、6回の中身は全て「サードパーティールールについて説明聴取・質疑」となっている。一つのテーマで延々議論したことが分かる。

 サードパーティーとは英語で第三者のことだ。ある行政機関が他の機関や外国政府から秘密の提供を受けたとき、それを第三者に伝えるには情報元の機関、政府の承認を必要とする、というルールである。情報の世界では当たり前のこと、という意味の説明を政府は審査会でしたようだ。

 この説明に委員がかみついた。

 〈この審査会は第三者に当たるのか〉〈国会に情報を提供できない場合は極めて、本当にまれ、と政府は答弁していた〉

 報告書に記載されている委員の発言である。

 秘密法の審議を振り返る。国会には情報を提供すると、政府は確かに述べていた。

 例えば2013年11月11日の衆院国家安全保障特別委、森雅子担当相の答弁だ。「外国から提供を受けるときに、その国が国会にも出してはいけないと限定をする場合ですね。そういう場合はほとんどないと思います」

 審査会は秘密保持のため電波を通さない特殊な部屋で開催される。委員はメモを取ることも持ち出すことも許されない。委員が国会の外で秘密を漏らすと最高で懲役5年が科される。

 こうした厳格な仕組みを作ったのは法の運用に国会の目を届かせ、政府が勝手な判断で情報を隠すことができないようにするためだ。サードパーティールールを理由に政府が提供を拒むのは秘密法の前提条件を突き崩すようなものであり、容認できない。

 政府による法の恣意(しい)的な運用は既に始まっている。歯止めをかけるには委員を今の8人から増やし、情報専門家を交えた強力な事務局を整える必要がある。

(6月11日)

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