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地球の磁気は過去に何度も逆転を繰り返したことが分かっている。発見者は京都大教授の松山基範だ。1926年、兵庫県の城崎温泉に近い「玄武洞」で、岩石のN極とS極の向きが逆なのを見つけ、中国などの岩石も調べて提唱した

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その後、否定する説もあり、確立したのは60年代初め。地磁気逆転の痕跡は大陸移動を示すプレートテクトニクス理論の証明にも役立った。逆転期の一つには「松山」の名が付いている。松山は山口大の初代学長を務め、命名を知ることなく亡くなった

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隠れた先駆者に再び光を当てたのが千葉県市原市の地層だ。最後の逆転が約77万年前に起きたことを示す貴重なものと判明。国立極地研究所などのチームが世界基準にするよう国際機関に申請した。認められると、地球の歴史を示す地質年代に初めて「チバニアン」の日本名が付く

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はっきりと分かったのは御嶽山の火山灰層が決め手というから興味深い。灰の鉱物に含まれるウランと鉛を高精度で分析すると、逆転は従来の説より約1万年遅かった。チバニアンの時代は77万年〜12・6万年前。現代人の祖先の誕生とも重なる時代だ

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200年近い観測では地磁気は弱まりつつある。そろそろ逆転に向かっても不思議ではないという。その過程で宇宙放射線から生き物を守っている磁場が無くなったらどうなるか、研究はこれからだ。壮大な地球史に思いをはせると、生まれたての人間の思い上がりばかりが透けて見える。

(6月14日)

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